ジャパネットたかたができてジョブズができなかったこと

かつては日本でスマホといえばiphoneであり、新機種発売当日は販売店前は長蛇の列ができたほどだったが、近年ではの日本のスマホ市場のiPhoneのシェアは大きく減少傾向にある。

実は世界全体でのiphone (iOS)シェアを見てみると、日本だけがiphoneのシェアが特別に高かったのである。

 2017年末時点における世界各国のスマホOSシェア(出典:カンタージャパン)

 日本でのiphoneの圧倒的人気の大きな要因は、価格や性能は無論だが、何よりもスティーブ・ジョブズ氏の「アイドル性」が日本人の中でことのほか高かった。日本の消費においては、アイドル=アイコンの存在が購買動機に大きく関わる傾向がある。ジョブズ氏という「アイドル」=apple社を体現するヒーローとなり、日本人にiphoneを買わせた。こうした「アイコンの訴求力」の強さは、日本は他国に比べて顕著である。

 ジョブズ氏の死去とともに、日本人はapple社のカリスマアイドルを失い、徐々にiphoneから離れて行ったともされている。さらには中高生という新しいスマホユーザーにとっての購入動機となるだけのジョブズ氏のアイドル性は減少していった。

 これとは全く逆の「アイコンの訴求力」を発揮したのは、テレビ通販の「ジャパネットたかた」である。ご存じのように「ジャパネットたかた」は、創業2代目の高田社長が独特のキャラクターで自ら出演することで、テレビ通販の売上を莫大に伸ばした企業である。テレビ画面の中の高田社長の姿、声、口調、そして商品説明スタイルそのものがブランドとなったわけで、つまりは高田社長は同社におけるジョブズ氏のような「アイコン」だったのだ。消費者は、高田社長ありきで「ジャパネットたかた」から商品を買い、日本トップクラスの通販企業に成長した。

 高田社長はご自身がまだ十分働けるうちに、社長自身が育てた社員にテレビ通販を全て任せて「引退」をした。ご自身が出演していた頃から、こつこつと社員育成することで、自分が出演せずとも「ジャパネットたかた」のテレビ通販ビジネスを維持できる体制をつくり成功させた。しかも、息子である3代目に自分と同じようなアイコンになることを継がせることはなく、テレビ放送には一切出していない。今やジャパネットたかたの顔となるテレビ出演は、複数の社員に見事に引き継がれ、ブランドイメージとして継承されている。Apple社とは対照的に、「ジャパネットたかた」は高田社長という特定のアイコンなしでも売上を維持できる会社になった。

 「社長の顔が会社の顔」、つまり社長が「アイドル=アイコン」となっている会社は多い。起業一代目では非常によくあることで、それが事業の基盤づくりに大きく貢献することも多くそれを否定するものではない。しかし、一代目のカリスマ社長や、apple社のような超アイドル社長が居なくなったときに会社の顔が失われ、その顔によって取引をしてくれていた取引先、あるいは顧客が離れてしまうことも往々にしてあるのだ。

肝心なことは、体制をいつまで、どのように続けるかの引き際だ。適切な時期に「会社の顔」をリフレッシュし、社長が変わっても商売がきちんと維持できる体制をつくることができるよう、日頃からの組織構築や人材のアップデートが得策となる。ぜひご一考を戴きたい。

2019年、はじめの一歩

明けましておめでとうございます。

昨年に引き続き、年明けもカルチャリアのコラムにアクセスいただき感謝しております。
本年も、カルチャリアは【もっと楽しく働くために】のサポートができますよう取り組みを行ってまいります。
毎週月曜日のコラムを通して、皆様と繋がっていけますよう精進いたします。どうぞ宜しくお願い申し上げます。

ビジネスの現場ではすでに「日常」が戻って来ていることでしょう。ほんの数日前まで、「おめでとうございます」と笑顔で声をかけあっていたことすらも忘れてしまう、そんな日常に完全に戻ってしまう前に、2019年を大きく飛躍させるための、はじめの一歩を踏み出しましょう。

はじめの一歩…、どの一歩?どこから何から手をつける?

 【優 先 順 位】

という言葉が連想されます。

仕事をしていくにおいて、いかに的確に瞬時に優先順位をつけて行動できるかで、生産性も業績も大きな違いを生みます。誰もが当たり前にその重要性を理解しているはずの「優先順位」は、個人判断で決められてしまうことも多く、さらに社内での統一性が保たれていなければ、会社全体としてはマイナスへのレバレッジも大きく作用してしまいます。

何を優先するか…。優先順位とは、何から先にするのかを選び取るのではなく

 【何から先に手放せば、より多くを救えるか!】

という、人間の持っている生命維持の危機管理能力がその基盤にあります

ということは、誰にでも優先順位を見極められる力は備わっているということであり、「何から先に手放せば、より生産性を上げられるか」と、経営存続や業績向上に使えるようにしていくことは、どの会社、どの社員にとっても、可能だということです。

レベルの高い「優先順位づけ」は、無駄を見極め、執着を手放せる能力が可能にします。個人差はあれ、人間なら誰しもが兼ね備えているものですから、磨くも鈍らせるも、その人の仕事の習慣が大きく影響します。「優先順位づけ」ができない社員や職場文化の問題は、社内の環境と習慣、社員幸福度、社員エンゲージメントなどの現状把握に目を向けることで、原因と対策が見えてきます。

経営層と社員との間で、優先順位の感覚が違う場合も致命的です。目標や目的、会社の存在意義の共有すらできていない可能性もあるからです。

無駄を見極め、執着を手放す=無駄な仕事を辞める判断力と行動力は、人、モノ、カネといった経営の3大要素のすべてにおいて、重要なものです。

2019年のはじめの一歩、あらゆる意味での『優先順位の見直し』としてみてはいかがでしょうか?

2019年、企業の成功は「幸福学」が鍵になる!!

毎週月曜のコラム、2018年は53本をアップさせていただいてきました。
その中で人気の高かった記事のトップ3は…

1位 ハラハラ…って、それハラスメント?(4月23日
『2018年のメディアを賑わせたセクハラ、パワハラ。社員は企業の資産そのもの。
だからこそ、高まる多様性の時代を迎え、働き方改革の推進とともにハラスメント対策を会社文化に組み込むことは、重要なことである。』

2位 アドラーを職場環境の観点から考えてみる(1月15日)
『常にビジネス書売上の上位にランクされ、経営やマネージメントの指針とする人も多い、アドラー心理学。そのアドラー心理学のエッセンスの
中から、職場環境に観点をおいて考えてみる。』

 
3位 感情労働の職場環境と社員幸福度を守るには(3月26日)
『日本ならではのおもてなし精神や、今でもなぜか日本人の心の奥底に潜む「お客様は神様」は、利他の精神の現れとなる一方で、ボーダーラインが崩れれば一瞬で闇をも生む。感情労働とされる業種や業務は、人を豊かに幸せにする価値ある仕事である。だからこそ、その業務に就く人にこそ、恵まれた職場環境が確保されるべきである。』

そして、これまでの全コラムの中でのトップは:

 職場の汚いデスクは心の乱れか、天才の証か(2017年8月14日)
『職場環境改善の対象は、時短や女性活用だけではない。毎日使う職場のデスクも、業務や業績に影響を与える立派な、いや重要な環境のひとつである。
乱雑な机やオフィスの片づけに対して、「忙し過ぎて無理」「今は机を片づける時間を業務に費やした方がいい」という言葉が出てくるとしたら、職場環境改善のイエローフラッグだ。』

という結果が出ました。

職場でのハラスメントやコミュニケーション、職場環境改善に関わるテーマが注目されるのは、まさに今の日本社会の抱える問題そのものの反映でもありますが、その一方で「課題は可能性の宝庫」とも考えられます。

タイトルで興味を引かれて読んでいただけたものも多かったことに加え、「社員幸福度」「幸福学」に関する記事への関心が顕著に増え、社会の風向きが変わってきたことを実感しています。

大晦日の今日、明日からの2019年にどんな目標をお持ちでしょうか。

幸福という感覚を感じることができる、それは人間なら誰にでも本能的に備わっている能力ではないかでしょうか。本能はフルに使うべきであり、そこに関わる自分自身にも、人にも、職場にも、社会にも恩恵は拡散されます。幸せでありたい、誰かを幸せにしたい、という感覚が、知恵を生み、人同士をつなげ、新しい「何か」を創造します。

ひとりの人が自己責任を持って幸せに生きる。社員幸福度が会社の経営を向上させ、限りなくハラスメントの無い企業を作り、ダイバーシティが社会を豊かにしていく、そんな2019年の構築を提唱していきたいと思います。

カルチャリアのコラムは2019年も毎週月曜日に配信していきます。

皆様にとって、2019年がさらに高い幸福度に包まれる1年になりますよう。

メリー・ポリティカルコレクトネス

今日はクリスマスイブ!
近年のアメリカでは「メリークリスマス」よりも「ハッピーホリデーズ」と言うことが一般的になっている。これは、年々厳しさも浸透も進んでいる『ポリティカルコレクトネス』の影響もあり、ダイバーシティの国アメリカだからこその風潮である。

ポリティカルコレクトネスは、表現や用語に、人種、宗教、性別などの違いによる偏見や差別を連想させたりするものを使わないようにするという考え方である。1980年代に、多人種・多文化・多宗教・多思想のアメリカではじまったもので、たとえばポリスマンとは言わずポリスオフィサー、ビジネスマンはビジネスパーソンというように呼びかえるようになったのも、Man(男性)をつけて男性限定の職種のように表現しないようにすることからだ。黒人ではなくアフリカ系アメリカ人と称するのもポリティカルコレクトネスである。日本でも、保母さんは保育士、痴呆症という疾病も認知症となったのも、同様の流れからだ。

メリークリスマスがハッピーホリデーズになったのも、クリスマスはキリスト教の宗教行事であり、同時期にユダヤ教のお祝い行事「ハヌカ」、アフリカ系アメリカ人のお祝い行事「クワンザ」が重なるのに、この季節を「メリークリスマス」でくくるべきではないというのが、ポリティカルコレクトネス的な年末の新スタンダードなのだ。

もちろん、メリークリスマスが廃絶されたわけでも、使うのが偲ばれることもなく、クリスマスの賑わいは以前と変わらずに国中を輝かせている。
3つのお祝いを全部合体させて

Christmahanukwanzakah!クリスマハヌクワンザカ!

という、もはや呪文のようなユーモアたっぷりの言葉遊びの造語もあるが、楽しいけれど、あまり使われない。そもそも言いにくい。その代わりに、誰もが「ハッピーホリデーズ」と声を掛け合い、クリスマスカードの代わりに「Seasons Greetings(季節のお祝い)」のカードを送りあえば、お互いの思いやりになるという考えだ。

アメリカでも、時に「やりすぎポリティカルコレクトネス」や単なる揚げ足取り合戦になることもあるが、真髄にあるのは「思いやりと配慮」である。

職場でもプライベートでも、ダイバーシティの時代に突入した今、私たちのポリティカルコレクトネスの意識はどうだろう?今年のニュースを賑わせたハラスメント問題は、まさに「思いやりと配慮」の欠落から起こる。

意識的にも無意識的にも、毎日の言動は「思いやりと配慮」で満たしていきたいものである。
それでは皆様、Merry Christmas and Happy Holidays!

*大好評カルチャリア無料セミナー*
2019年第一弾
1月23日(水)【幸福学ゲートウェー/社員幸福度と業績向上 実践門編】受付中

アチチアチ!青学の駅伝大作戦で社員エンゲージメント!

2018年もあと2週間、お正月には日本が「箱根駅伝」で盛り上がる。

ご存じのとおり、箱根駅伝では青山学院大学の連覇が続いている。以前なら駅伝のイメージとは結びつかなかった青学であるが、2004年に元サラリーマンの原晋氏が監督に就任し、10 年目の2014年についに箱根駅伝優勝を達成して以来、青山学院=駅伝というイメージはすっかり定着し、大学の新たなブランド構築にも大きく貢献している。

原監督は2012年から、毎年必ずチームの箱根駅伝の作戦名をキャッチフレーズのように設定している。

【過去の箱根駅伝作戦名(順位)】
12年度 マジンガーZ大作戦(8位)
13年度 S大作戦(5位)
14年度 ワクワク大作戦(1位)
15年度 ハッピー大作戦(1位)
16年度 サンキュー大作戦(1位)
17年度 ハーモニー大作戦(1位)
18年度 ゴーゴー大作戦(?)

2012年度に最初の作戦名が設定されてから3年後に箱根駅伝優勝を果たしているのだ。

5連覇を目指す2019年の作戦名を聞かれて、原監督は「就任15年目。箱根駅伝95回大会。5度目の優勝、キーになる区間は5区。ライバルチームはゼッケン5番の東海大学。私たちは、アチチアチと燃えております。郷ひろみさんじゃないですが、名付けましてゴーゴー大作戦」と記者会見で答えた。恐らくひと昔前の日本の運動部監督なら「ありえない」発想と会見発言も原監督らしい。

ただし、ユニークな作戦名があれば強くなるのかといえばそうではない。数多くの大学駅伝監督の中でも、特に原監督はその年ごとの選手の特性、性格、価値観を見極め、体感することに抜きんでており、選手たちに的確に訴求し非常に理解しやすいキャッチフレーズ・作戦名を策定することが出来ているのである。それが青山学院の強さの大きな要因の一つになっている。

ご存じのとおり、大学スポーツは在籍期間4年という上限があり、毎年最上級生と新入生が入れ替わる。したがって、高校から選手をリクルートする際には学風に極力合った選手をスカウトするのが鉄則であるが、当然どの選手にも個性があり、毎年毎年全くおなじ雰囲気のチームになるかといえばそれは不可能だ。

原監督は寮生活で選手と寝食と共にすることで、その年ごとの選手の性格や特性、人生観や価値観を読み取り、チームの雰囲気を共有する。そうすることで選手全員に最大のインパクトをもたらす作戦名を策定することができている。さらに作戦名に則して練習内容を調整している。例えば、昨年2017年度の「ハーモニー大作戦」では、「今年は個々の選手の特性を調和させることが勝利につながる」と判断。選手それぞれがお互いの個性と特性を調和させてハーモニーを創出する、ということに焦点をあて、作戦名を選手たちにキャッチフレーズとして浸透させ、それに基づいた練習を徹底して繰り返した。

もちろん、同様に寮生活でのチームビルディングやキャッチフレーズの策定などを実行している大学もあるだろうが、選手全員の腑に落ちるシンプルで的確な作戦名を選定できのるは、原監督の「日々の努力」の積み重ねのなせる業である。また、怒鳴る、叱責するといったハラスメントぎりぎりの熱血根性指導のスタイルからも逸脱した。ワクワク、ハッピー、サンキュー…明るく楽しく幸せなチームこそが「勝てる組織」なのだ。これは企業における社員エンゲージメントの構築と同じである。

企業での社員エンゲージメント構築では、監督に相当する経営トップが、社員と寝食を共にしないまでも、日ごろから可能な限り社員と日常での接点を持ち、社員の特性、個性、価値観、そして幸福度を的確に把握することが求められる。現状把握をすることで、「組織=チーム」に訴求する企業としての「キャッチフレーズ=企業理念」の浸透作戦、すなわち社員育成のポリシーやシステムを構築する。こうして構築された企業理念に基づく育成システムは、企業・組織の強さに直結するのだ。

こうした取り組みをまだ実施していない企業経営者が多いのは、非常に勿体ない。皆さんも是非今日から原監督に倣って、2019年はアチチアチと情熱的に社員エンゲージメントと育成システムを構築してみてはいかがだろうか。

 

*大好評カルチャリア無料セミナー*
2019年第一弾
1月23日(水)【幸福学ゲートウェー/社員幸福度と業績向上 実践門編】受付中

幸福学 VS ネガティブ社員

近年、経営を成功させるための重要戦略として世界的レベルで注目を集めている「幸福学」や「ポジティブ心理学」では、

学習性無力感

が、紹介されている。「人間の無力感は学習によって身に着いてしまう」というのだ。職場でも人生でも「どうせ自分が何をやっても無駄。何も変わらない」という環境が長く続くと、自分の置かれた状況に対して、積極的・自発的に対応しようという思考や行動ができなくなってしまう。

やらなくなる ではなく できなくなる

学習性無力感は、回避不能の状況下での心身へのストレスが継続的することが原因となって起こる。

ある企業では、女性社員が「女性活用を積極的にしていくと会社が発表したけれど、実際は何も変わっていない。期待を持てば自分たちが傷つくので、期待感はもちろん、職場では感情を麻痺させておいた方が楽だ」と話していた。

今年も研修やセミナー、講演などで、一貫して「これからは、ワークライフはバランスからインテグレーションに移行し、個人としての幸福度の高い社員が会社を救う」と提唱しきた。その提唱に同感してくださる方々が確実に増えていることを実感すると同時に、「幸福度を高く持つことは自分にとって重要だとわかっていても、会社では逆に無力で仇にもなり、職場のネガティブな雰囲気につぶされて終わってしまう」という声も実に多く聞いた。

幸福度の低さやネガティブなマインドは、高い伝染力で感染し、職場全体の習慣・風習となる。無感力とは、わかりやすく言えば「やる気の無さ」である。

「やる気」「社員」でネット検索をすると、数千万件以上がヒットし、『社員にやる気をださせるには』というテーマの記事やリサーチ、HOW TOが膨大な数で上がってくる。

社員のやる気が起きないことの原因にも、解決策にも、これまではあまり重要視されていなかったのが、職場における「環境」と「習慣」である。やる気の無さ(無力感)を学習させてしまう要因この2つこそが起因となる。

「やる気」を上げるには、気力と根性だ!

ひと昔に流行った根性論は、上司が部下に対して声高に言い放っていれば「ある程度の指導」をしている雰囲気にはなったはずであるが、結果が出るどころか、情緒的混乱やネガディブマインドを増長させるだけになった。目的も信念もない気力と根性は、ハラスメントやネガティブ社員を育ててしまう。

やる気の無さが学習性の無力感であることが分かれば、その突破口として人間なら誰でも兼ね備えて持っている「幸福感」が使えるのだ。個人の人生目標、企業の一員としてこそできる目標、社会貢献、まずはどこからでも良い、小さな「幸福感」を取り戻すことからである。

社員の幸福度を測るさまざまな方法やツールも選べる時代になっている。経営者は社員の幸福度と組織習慣の現状把握に早急に取り組むべきである。幸福学と経営、幸福学と成功、その関連性を疑っている暇はもうない。

*大好評!カルチャリア無料セミナー *
2019年第一弾!【幸福学ゲートウェイ!】受付開始
1月23日(水)17:00~18:30

ブートキャンプ型組織構築-結束と個性

この10年ほど、多くの日本企業は「個人の資質、個性を活かす」ということに非常に強く焦点を当てた組織づくりがなされるようになってきた。それ以前の日本企業、日本の組織があまりにも「全体主義的」であったため、個々の社員の資質や特徴を活かす経営が出来ていなかったことへのアンチテーゼでもあった。

 「個人、個性を活かす」経営は、アメリカ型の人事管理手法、マネジメントやコーチングが手本にされることが主流で、海外留学や海外駐在経験者,あるいは海外企業の実例などを導入する日本企業が大きく増えた。

 ところが、「個人、個性を活かす」とは、アメリカでも組織構築の一側面に過ぎず、そこに気付いていた日本企業は、思いのほか少なかったのである。我々日本人が想像しているよりも、実際にアメリカでは基盤になる組織は「極めて軍隊的」なものであり、社員の個性を活かすためには、まずは組織全体としての結束を最優先しているのだ。そこに気が付かず、「社員の個性」というポイントばかりに集中してしまうことで、「自分勝手でわがままで、いうことを聞かない自分最優先社員」がどっさり生み出されてしまうという結果は、多くの人が実感しているのではないだろうか。

 アメリカの組織における「個人の資質」の活かし方とは、「優先すべきは組織」という概念が根底にあってこそなのだ。ひと昔前の日本の組織の「全体主義的」な、一見古めかしそうな概念も、時代に合った切り口、進化した手法を加味したうえでもう一度見直しができる会社であれば、わがまま自分最優先社員を減らす試みといして活用できるのだ。

さて、アメリカではダイエットでも企業研修でも、厳しめのトレーニングや研修を「ブートキャンプ」と呼ぶ。過酷なことで知られるアメリカ軍海兵隊の新入隊員向けの13週間の訓練が「ブートキャンプ」と呼ばれるものであり、この訓練で新入隊員たちは「自分たちは海兵隊という組織の一員である」という概念を心身ともに叩き込まれる。この特訓期間中は徹底した没個性と言っても過言ではない。その訓練手法は下記の3本柱で成り立っている。

1.「自己としての驕りの否定」を目的に、自分のことを一人称で呼ぶことを使用を禁じる(「私は」と言わず、第三者的に「この訓練
   生は」と言う)

2.格闘技とライフルの射撃術の訓練により、組織構成員として、限界を超える未開拓の能力を鍛え、集中力を養うなかで、呼吸、
  姿勢なども海兵隊式のものに徹底して変える。

3.総仕上げの戦術訓練により、組織の一員として自身の役割を明確に認知し、かつ身体知化する(体に覚えこませる)。

もちろん、こうしたアメリカ軍海兵隊スタイルをビジネス組織にそっくりそのまま取り入れることは不可能かつ非現実的ではあるが、3本柱は企業活動においても下記のように転換が可能だ。


1.仕事上では対社内外問わず、「私=I」の考えは最小限にとどめ、代わりに「Our company=我々の会社、弊社」や、
 「We=われわれ」として捉える。

2.自分が良いと思うやり方、これまでやってきたやり方を一度手放し、組織固有の手法、考え方を徹底して身につけ、実践する。

3.組織全体においてはもとより、部署、チーム等の活動において、自らの役割を明確に認知し、それを“誰に言われなくても、
  無意識に” 実行し、結果を出す。

この十数年、日本企業ではブレかけていた「組織の結束優先」という概念を明確にし、社員に徹底させた上でなら、はじめて「個人の資質」が活かされる。組織の結束と個人の資質のバランスが取れた状態が、これからの会社組織に求められる。

 バランス感覚のある「ブートキャンプ型」組織の導入は、日本ではまだまだ進んでいないが、上手に導入すれば組織のパフォーマンスアップは間違いない。

話題の「人脈なんてクソ!」発言につきまして

11月11日放送のテレビ番組『林先生が驚く 初耳学!』(MBSTBS系、毎週日曜22:00~)の冒頭のコーナーで、最近ネットニュースで話題を呼んだ発言として

【 人脈なんて言葉を使っている奴はクソ!】

を、紹介していた。

発言の主は、クリエイティブディレクターの三浦崇宏氏。ネットメディア「R25 20代ビジネスパーソンのバイブル」での、私の人脈論というインタビュー特集での記事からである。

三浦氏は大胆に「人脈は地球上で最も下品な言葉」とも言っているが、「無駄な人間関係など存在しない」と提言しており、人脈そのものを否定しているのではないと取れる。「この人と関わったらプラスになるか、などわからない」だからこそ、自分に有益が無益かを先に判断して、人脈を意図的に作ろうとすることの無意味さを「クソだ」と言っているのだ。

林先生も「人脈なんて言葉を使っている奴はクソ!」(面白いから何度も書く)には、同感だと強く言い切った後、自身の人脈論をアニメの主人公2人に例えて解説していた。

ワンピースのルフィ型=損得を考えずに、仲間として一緒にやっていこうと誘い集う

北斗の拳のケンシロウ型=堂々たる1人として自立する自分の姿を見て、集まってきた人とつながる

そして、自分はケンシロウ型でありたいと締めくくっていた。

皆さんはどう感じるだろうか。もちろん人脈っていいものだ。人間社会に生きていく上で、仕事をしていく上で、人脈があれば「楽」なのだ。宝となることも多いだろう。その一方で、人脈ありき、人脈だけに依存して、個人を高めていこうという意識がないならば、本来なら脈々と流れて出会うべき人と人をつないでいくはずの「人脈」という恩恵そのものを無駄にする人になってしまうだろう。そして、人脈にすがりたがる人は、人脈で人の価値を決めがちでもある。

人脈を作るのも、活かすのも、腐らせるのも、個人の在り方ひとつではないだろうか。出会った人すべてに無条件に「仲間」としてのつながりを求める必要も、出会った意味を無理やり決めつける必要もない。紹介、偶然、偶然という必然、どんな出会いも、先の未来は未知数である。「自分にとって有益か無益か」で判断してしまうより、出会いを経験として活かす知恵を駆使して行動を起こす方が格段と生産性の高い人生になる。

そうなると、三浦氏の言葉が再び響く。「機会を探すくらいなら、自分で作った方が早い。とにかく、自分自身が何かの主語になるしかない。徹底的に主語でありつづければ、人のつながりなんて自然と生まれてくる」。

自分の人生の「主語として生きる」。まずは、ここからではないだろうか。

告白します!社員エンゲージメントと成功術

私はみなさんに告白しなければならないことがあります。それは、今まで企業経営者、会社の取締役、などいろいろな立場にいたにも関わらず「社員エンゲージメント」に対する明確な理解が実は出来ていなかったのです。「社員エンゲージメント」といえば聞こえはいいのですが、経営者の立場で、全社員に対して、100%集中する事を望むことなのでしょうか?

 “社員エンゲージメントの高さと収益に具体的にどの様な因果関係があるのか?”

この疑問が常に頭をよぎります。

正直、社員エンゲージメントに関して、顧客満足度調査と同様に、企業の損益、社員の生産性、最前線で働く社員のパフォーマンス度等を容易に数値化を行い、測定するものとしか捉えていない時期もあったので。ビジネスを成長させ、素晴らしい商品/サービスをお客様に展開しようと日々もがく中で、社員が会社にどれだけの“エンゲージメント”を持っているのかに関しては、後回しになりがちでした。

これまで数多くのグローバル企業と関わってきた中で、グローバル企業での社員エンゲージメントはさらに複雑になることを実感しました。複数の国が関わり、時差もある、言語も異なる、文化や習慣も違うという環境で事業を行うのですから、社員エンゲージメントを高めることはより難しくなってきます。

ここ10年ほどで、日本でも”社員最優先主義” に関する記事や、議論が成される機会は確実に増加してきました。実際、多くの企業のホームページで、その様なスローガンが公開されています。どれもが、明確な企業理念、会社目標、ビジョンや価値感と共に、企業文化を構築することが軸となってのスローガンです。 残念ながら、これらは経営陣や人事部の一部のみで動き出したものの、大多数の社員にはスローガンの真意が響いていないことが多いのです。

企業がグローバル化していく今日、世界でビジネスを展開し、各地に拠点とを置く会社にとって、社員が日々集中して、信念を持って仕事に臨んでいるかは、極めて重要なポイントとになっているのです。 企業の規模感だけでなく、そこで働く人々と仕事との距離感も問題となっています。

企業成功にとって人材が大切であり、さらに社員エンゲージメントが企業成功の度合いを測るのに適格な物差しとなると考える事ができるなら、あらためて社員エンゲージメントとは何なのか、その定義は何なのかをじっくりと考えていくべきなのです。

  —– 一緒に考えていきましょう! —–

社員エンゲージメントの定義づけ
 ~何があてはまり、何があてはまらないのか~

社員エンゲージメントを定義づける前に、まずエンゲージメントにあてはまらない項目を検証していきましょう。

社員エンゲージメントは、単に職場での社員幸福度を指し示しているものではありません(社員幸福度に関しては別の機会に深堀します!)。会社にダーツやビリヤードを設置したり、カフェを設置したからといってエンゲージメントは向上しません。その場しのぎの一時的な方法では、社員の信頼や仕事に対する熱いやる気は得られないものなのです。

社員エンゲージメントは社員満足度とも異なります。人事部が社員に対して満足度調査を行うこと自体は有効的ですが、満足度の高い社員が必ずしもエンゲージメントの高い社員とは限らないのです。満足度の高い社員は朝9時に出社し、しっかりと仕事をこなし夕方5時に帰宅するでしょう。しかし、必要にかられて残業をしたり、お客様から要求で休日出勤をすすんですることはないでしょう。SNSや友人に会社に関する誹謗中傷を行うことはなくても、会社の応援団的な心強い存在になってはくれないでしょう。

管理職や人事部が社員幸福度や満足度の向上に努めることは大切です。しかしながらせっかくの努力を一時的で地に足が付かない状況で終わらせてしまう場合も多いのです。社員がベストパフォーマンスを発揮できる職場環境を確保するためには、この問題に腰を据えて取り組まない限り、結果がマイナスな方向へいってしまう可能性があるのです。

社員エンゲージメントは、良いことずくめ

ゴールはここです!社員エンゲージメントとは、社員の会社に対する“貢献意欲”を表します。エンゲージメント度が高い社員はお金のためや出世のため、上司からの評価のために働くのではありません。例えば1コール目で電話を取るカスタマーサービスや、お客様が探している商品が別の店舗にあるのなら入手できる様尽力する販売員、大事な伝言連絡に自ら客室に出向くホテルのフロントクラーク、プロジェクトを期日内に完了させるために休みを返上して働くプロジェクトアシスタントなど。

  ——- 社員エンゲージメントとは何か掴めてきましたか?——

私自身、経営者として、人事に関わる経験や視点から、少しづつ掴みとってきたものです!それは単に感情的なもの(幸福感)ではなく、単にただ感覚的なもの(満足感)でもありません。2つの指標の良いとこ取りなのです。「社員に対してエンゲージメントとは何かを明確に説明でき、定期的にエンゲージメント度を調査し、向上できる対策を提供する」、こうした姿勢を持つ経営者と企業は世界的に成功するでしょう。

それはなぜなのか?次回のコラムで引き続き掘り下げていきましょう。

文:奥山由実子

聖子と明菜とうちの人事

少し前の書籍だが、松田聖子と中森明菜を比較した文化論を解説した「松田聖子と中森明菜 1980年代の革命」が話題になった。アイドルを自覚して演じきった松田聖子と唯一無二のアーティストの中森明菜という80年代を代表する2大スターを創り上げたレコード会社と芸能プロの相反する思想と戦略を軸にしたものである。

松田聖子と中森明菜 一九八〇年代の革命  中川右介著 Amazon

 その中に「松田聖子は芸名、中森明菜は本名、というのが2人の決定的な違いである」という話がある。松田聖子はあくまでも「役柄」であり、彼女は役柄としての松田聖子を演じているのであって、すべてをプライベートの蒲池法子(本名)と切り離して考えることができたという。したがって数々の苦難やバッシングなどはすべて松田聖子という役柄に対するものとして受け止めてプライベートに引きずらなかった。それとは反対に、中森明菜は本名でもあり、彼女は仕事とプライベートがすべて一体になっていたため、仕事での苦難をすべて一人の人間である中森明菜として受けてしまった結果、大きなストレスに悩まされるようになった、という話である。

 この話を会社と社員に、さらには人事に当てはめてみたらどうだろうか?

 芸名・役柄名を、会社のジョブディスクリプション(職務記述書あるいは職務明細書)として考えてみる。個々の社員のポジション、役割を明確に示したもので「あなたの仕事はこれとこれとこれですよ」「それを達成するために、この目標値をこの期限までに完成させてもらいます」など、つまりは演者に与えられた役柄についての細かい説明がなされたシナリオのようなものである。

 そもそも、ジョブディスクリプションは明確に作られているだろうか、社員に「目標達成のための自分を活かすツール」として伝達されているだろうか。

 ジョブディスクリプションで売れっ子を作れ

 ジョブディスクリプションを作品をヒット作か駄作かを決めてしまう役柄設定として捉えると、社員が聖子ちゃんタイプなのか明菜ちゃんタイプなのか、ヒット作を機に会社がどう社員を売り出せばいいのかが見えてくるだろう。「社員を売り出す」というのは、要するに社員の育て方、伸ばし方、活かし方の話である。人事というキャスティングディレクターが優れていれば、配役次第で会社も社員も大ヒットである。

 会社での自分を「役柄としてきっぱり割り切って演じ切る」、「プライベートの自分との共通点を見出して融合させる」、どちらかに優劣はない。重要なのは、社員がどちらに向いているのかを人事が決めることである。あるときは聖子ちゃんスタイルが、やっぱり明菜ちゃん風が良さそう、いや聖子ちゃんに戻る方が吉とでるか、と社員も人事も迷ってしまうというどっちつかずが売れないアイドル…いや、売れない(使えない)社員と化するのだ。

 だからこそ、ストーリー展開(企業理念、数値目標、ビジョン)が明確で、詳細な役柄設定(ジョブディスクリプション)が施されたシナリオ(企業戦略)であればあるほど、売れっ子社員として能力を発揮できるようになる。売れっ子人事ができれば会社は潤って当然だ。

 社員の幸せと会社の発展のために、まずは理念共有とジョブディスクリプション(職務記述書)を明確にいたしましょう!