【売上は働いた時間に比例する。はもう古い!?~マイクロソフトに学ぶ働き方改革・会議の運営方法改革~】

先日、日本マイクロソフト社が公開した「週休3日制度の試験的運用の成果」に関するニュースをご覧になった方は多いのではないでしょうか。
本日は、「マイクロソフト社の発表内容」と「会議の運営方法を変えるスモールステップ」をご紹介します。

同社では、今年8月の1ヵ月間、約2300名の社員を対象に、毎週金曜日を休業日とする週休3日制を試験的に運用しました。
同社の発表によると、就労時間が短くなったにも関わらず、従業員1人当たりの売り上げに換算した生産性が39.9%向上したという報告がありました。

生産性が向上した主な要因としては、「会議の時間や方法に関する工夫」が挙げられています。
週4日の就業という限られた時間の中で、従業員はより効率的に働くことが求められた結果、会議の数を減らしたり、会議時間の短縮、また会議をオンライン上で行う等の工夫がなされました。

実際にこの取り組みに参加した社員の内、92.1%が週休3日制の試験的運用に満足していると回答しており、近い将来、再度の実施を検討していると同社は発表しています。

以上の結果を踏まえて、日々の皆さんの職場でも改善出来るポイントを2点挙げます。

①会議の目的、意義を再確認する
皆さん、日々のスケジュールには、一日にどの位会議が入っていますか。
また、1日は会議の時間はどのくらいの割合を占めていますか?
「会議をこなすことが目的になっている」「担当範囲外の案件に関する会議にも参加している」ということも多いのではないでしょうか。

定期的になんとなく開催している等の会議があれば、本当にその会議が必要なのか、を立ち止まって考えることも大切です。
会議自体を無くしたり、時間を半分にして実施する等の改善策が浮かんでくるでしょう。

年間平均労働時間が世界的にも短い国として知られているオランダでは、実際に週休3日が実施されており、実際に年間の労働時間が1,680時間/年である日本に対して、オランダは1,433時間/年というデータが出ています。
会議や出張についても,オランダではその出席に係る判断は従業員に任されている特徴があります。
「何となく目的なく会議に出席している」状況を一人一人が変えていくことが日本でも働き方改革の一歩として大切です。

②会議のアジェンダを作成し、時間を意識する
弊社のこれまでの研修やコンサルティングの現場では、「会議が終わっても、何を話し合ったか、次のアクションが明確でない」というお声をよく聞きます。
複数名の社員の1時間という貴重な時間を使って会議をしたにも関わらず、その場限りで終わってしまったら勿体ないですよね。

有意義な時間にする為にも、会議の最初に「本日の会議のゴール、話し合う内容、次に向けたアクションの共有」等のアジェンダを作成することがおすすめです。
そして、各項目の想定所要時間や会議の終了時間を決めてから会議をスタートしてみましょう。

いかがでしたか。
いきなり週休3日制度を導入するのは難しいかもしれませんが、まずは日々の無駄を取り去る事からスタートしてみてはいかがでしょうか?

「Happyに働く為に今すぐ止めるべき3つのこと」幸福度の高い職場づくり

本日は、今日から出来る「楽しく働く為に止めるべき3つのこと」をご紹介します。

①愚痴/不満
皆さんの周りに「忙しい」が口癖の方はいらっしゃいませんか。
もしくは「最近仕事どう?」と聞かれた際に「最近も忙しくて…」と何気なく答えている方は多いのではないでしょうか。
「忙」の字は「心をなくす」という漢字の意味が示す通り、口に出しているとネガティブな雰囲気が伝染してしまいます。
そして忙しいと言い続けると何となく忙しい気になってしまうのが人間の心理です。

*今日から出来ること:
「忙しい」「疲れた」等のネガティブワードを使わない。
ちなみに弊社では「忙しい」の代わりに「盛り上がってる」を使っています。
ネガティブ用語をポジティブ用語に変換するだけで雰囲気が明るくなりますので、実践してみてください。

②自分を他人と比較する
世界156か国対象の国民幸福度調査(2019年)で日本のランキングは「58位」でした。
先進国の中で幸福度が特に低い日本ですが、
その原因の一つに「他人と比較して自分の幸せを決める傾向がある」点があります。

実際に、日々の職場でも「私は〇〇さんと比べてまだまだです」「△さんは仕事が出来る。それなのに私は…」と自身の価値を他人と比べて決めていませんか。

*今日から出来ること:
自分にないものへ目を向けるのではなく、自分が持っている得意分野に目を向けてみましょう。
完璧な人間はいないので、それぞれの得意・強みを活かして補い合うことこそチームで楽しく働くコツです。

③ゴシップや非難
恐らくどの職場にもうわさ好きな人はいるのではないでしょうか?
社員同士で褒め合うことはモチベーションの向上に役立ちますが、物事を前進させないうわさ話は非生産的です。
また、伝言ゲームの様な形でうわさ話が広まると職場の人間関係にも悪影響を与えてしまいます。

*今日から出来ること
うわさ話や非難を受け流し、関わらない。前向きな雰囲気作りを心掛ける最初の一人になる。
気持ちよく仕事をする環境作りは、ちょっとしたコミュニケーションの取り方次第で変わっていきます。

いかがでしたか?
いきなり全てを変えるのは難しいかもしれませんが、
考え方や行動をほんの少し変えることが楽しい職場作りへの第一歩です。

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職場環境の改善は「割れ窓理論」で考える

割れ窓理論とは、アメリカの犯罪学者によって理論づけされた、環境と犯罪の関係性を表したもの。「建物の窓が割れたまま放置されていると、誰も注意を払わなくなり、慣れが起こり、ほかの窓も割られていく」という現象を象徴しており、環境の善し悪しが、犯罪率や人の感情や行動に影響を与えるという考え方である。

有名なところでは、1994年にニューヨーク市長に就任したルドルフ・ジュリアーノ氏が、この理論を使ってまず徹底して行ったのが地下鉄や街中の落書きの清掃、タクシーの美化作戦。その結果、当時蔓延していた地下鉄での犯罪や無賃乗車が激減、さらにはニューヨーク市全体の犯罪率が低下した。

[ ニューヨークの地下鉄ビフォー(左図)、アフター(右図)]

この割れ窓理論は、職場環境の改善にも同様に効果が出るとして適応されることも多い。たとえば、片付かないデスクや書類、不良在庫や汚れたままの室内などが、いつからかだれも気にかけない当たり前の状態として慣習化されていき、そこから上司と部下のミスコミュニケーション、モチベーションの低下、業績低下への負の連鎖を起こしてしまうのである。

日本電産の永守重信社長は、「儲かっていない会社にはいくつかの共通点がある。社員の士気が落ちていて、工場が汚い。事務所も汚い」と語っている。また、某大手企業が老舗の会社を買収した際、会社命令として徹底して行ったのは社員の机の片づけだったという話もある。

『割れ窓理論はアップル社も救った』

かのスティーブ・ジョブス氏も、1996年に業績不振に陥ったアップル社を改革するために復帰した際には、割れ窓理論をあげて会社改革を行った。ジョブス氏に「まるで学級崩壊のような会社崩壊だった」と言わしめた状況を救うには「職場の環境を徹底的に変える」ことであり、業績改善のための社風一掃の第一歩は、汚いオフィスの改善の着手だった。汚い職場、乱雑な環境下では、業績低下はもちろん、不正の温床になりうる可能性があるとも言われる。

あなたの職場に、割れ窓状態は起きていないだろうか?職場環境を、社員の士気を、そして業績まで崩壊させてしまう「職場の割れ窓」が見過ごされていないだろうか?他のコラムでも紹介した「5S」は職場の整理整頓を成し遂げるために必要不可欠な5つの「S」(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)である。

中でも、割れ窓理論が最も作用するのは、「しつけ」のSであろう。しかし、職場環境改善においての「しつけ」には、会社として整理整頓を行う理念や方法などの基本的な考えの共有もなく行ってしまうことで、一方的な押し付け感やプレッシャーを与えて反発を買ってしまうこともある。「しつけ」よりも「習慣」のSとして、「割れ窓」を違和感として感じられる社内環境を習慣化するプロジェクトをお勧めしたい。

乱れたデスク、探すのに時間がががる書類、大掃除のたびに大量に出るゴミ、それらは「割れ窓」のメッセージなのである。今年の年末こそ、割れ窓理論を念頭に置いて、職場環境改善の大掃除に取り組んでみてはいかがだろうか。

貴社の「人事部長はシアワセですか?」

日本でも従業員満足度という言葉は浸透してきたが、心理学と経営学の関係性を研究する専門家たちは「従業員満足度から、幸福度に指標を置いていく時代が来ている」と提言している。満足度は社員パフォーマンスには比例しないが、幸福度は比例するというのである。満足度は日々の業務や行動に対しての個人評価で終わってしまうが幸福度はまさにワークライフインテグレーションが完全に整って完成する。ワークライフインテグレーションとは、「ワークが辛くても、ライフで挽回する」という従来のワークライフバランスの考えではなく、「ワークもライフも両方ともに幸せを感じるものにする」ということだ。会社業績を大きく支える社員エンゲージメントもまさにこの両者一体になった社員の中に、自発的に芽生えていく。

弊社は1年前「人事部長はシアワセですか?」というタイトルで公開セミナーを行った。80名定員の会場は予約開始直後に満席となり、当日は立ち見を含めた120人が受講した。シアワセになりたい人事部長が多いのか、わが社の人事部長はシアワセそうには見えないと感じる人が多いのか。どちらにしても問題は同じ。「人事部長はシアワセですか?」と自問自答して欲しい。会社の未来はすべて「人」にかかっている。だからこそ、社内でトップクラスにシアワセ感にあふれている人こそが人事部長のポジションにいるかどうか、その重要性にいち早く気づいて欲しくてのセミナータイトルだった

現在、世界的に「Well being・Happiness(心豊かに生きること・幸福)」をテーマにした学術論文や研究そのものの数が急増している。シアワセな社員が会社にもたらす恩恵も、すでに世界で数多くのリサーチが行われ、業績や生産性、株価に比例するという結果が出ている。今、海外のトップ企業の経営者たちは進んでポジティブ心理学や幸福学を学び、社内に社員幸福度向上の専門職であるCHO(チーフハピネスオフィサー)のポジションを設けている。「働き方改革とは、幸福度を高めること」これは間違いなく近未来の世界のスタンダードになる。あらためて問いかけてみよう。

その筆頭となる人事部長はシアワセですか?

働く女性が直面する出産後の「マミトラ問題」

マタハラとは、職場において妊娠や出産した女性に対して行われる精神的・肉体的な嫌がらせのこと。そして、マタハラがあったにしてもなかったにしても、職場復帰した女性には、マミトラという次なる試練が待っていたりする。マミトラとは「マミートラック」の略、職場復帰した女性に対して、産休前とは違う単純業務しか与えられなかったり、仕事と子育ての両立ができることとの暗黙の引き換えの中で昇進・昇格は諦める道を歩むこと。陸上競技のコース「トラック」に由来した言葉で、出世は無しの「子育て母コース」に乗ったらそのまま出られなくなるという意味。働く女性が直面する出産後の大きな問題なのだ。

『マミトラ対策は20年遅れ!』

アメリカでも同様にMommy Trackと言われ、同じ問題としてあるものの、日本の場合はまだまだ「女性活用」の歴史も理解も浅く、その対応も初期レベルだ。厚生労働省の調査では、夫婦の育児分担ができている家庭は20%しかないという。これだけ女性進出が当たり前になっていても、日本では個人レベルになると育児と仕事の両立自体への考え方や実現化においては後進国のままである。これでは、子育てや家事と仕事を両立することに楽しみを見出し、将来の人生目標に活かしていこうとなど想像もできない母親も増える。

マミトラには、職場での業務体制や職場習慣の問題に加えて、家庭での協力の在り方、母親本人の人生目標への想いなども関わってくる。マミトラを出世可能な道に変えるための対策には、

1.情報や業務の属人化を無くすためのITツールとしくみを導入
2.書類、物品のムダの削減のため、業務プロセス作成
3.テレワークや時短の実現化のため、成果による目標達成
4.女性管理職を増やすため、性別、国籍関係のない職責の見直し

以上の4点が述べられる。
こうした、いわゆる誰もが思いつく「働き方改革」の課題に加えて、さらに重要なものがある。

『差別や偏見は「幸福感」で無くせる』

企業も個人も新常識を取り入れ、考え方や習慣を変革させていくことはないだろうか。現代社会で最も注目されている最新の経営学は「幸福学」である。人(社員)が幸福であることは、業績を高めるだけでなく、職場内における人間関係や信頼関係も向上させる。心理学的にも差別や偏見が生まれる条件には、幸福感の有無や高低が関わるとも言われている。母親が働くことに対して、差別や偏見を持っているのは実は男性だけではない。同じ職場の女性たち、ときにはこれまで働く母親としての差別や偏見を経験してきた先輩たちも例外ではない。さらには、働く母親たちが、自ら負い目や諦めを持ってしまうことは残念なことだ。

ハラスメント対策を重く認識する企業も増えてきた。ダイバーシティ雇用の時代になってきたことも誰もが自覚している。そんな時代に、マタハラ、マミトラなどという言葉を残していては歴史の逆行である。幸福度を基盤とした改革、これは日本の社会にも職場においても、男性だけではなく女性たちにも投げかけられたミッションである。

母親となったからこそ、今までとは違う、今までではできなかった仕事の仕方をクリエイトできる専用の道を歩いていける!そんな新マミートラックが作れる働き方改革は、日本の女性たちにも不可能ではないように思えるが、皆様はどうだろう?

アドラー心理学から学ぶ「企業文化と理念浸透」

ベストセラーの一つ「嫌われる勇気」は、複数年に渡りビジネス書売上の上位にランクされ、アドラー心理学の認知を広めることにも一役買った書籍である。売上が100万部を超えるロングランには、少し刺激的なタイトルが読者層の興味を引かせるマーケティング効果も手伝っているであろうが、そこで説かれるアドラーの指摘・主張が、現在の社会に符合し、求められていることを示しているとも言えるだろう。今回はそのアドラー心理学のエッセンスの中から、職場という観点から3つ取り上げたい。

1.「人の悩みは全て対人関係に帰着する」
モノが充足し、人の動機付けに占める物欲の割合が低下する社会では、よりメンタル面での要求が強まっている。
そこで大きな要素となるのが周りの人との関係性であり、「全て」とまでは言わずとも、人の抱える課題の多くが家庭や職場での対人関係に起因し、その改善が課題の解消につながるという場面は今後も増え続けるであろう。

2.「認知論」
アドラーの言う認知論とは、同じ現象でも、個人によって主観的な意味づけは異なるという意味だ。確かにチームで同じ言葉を使い、同じ事実やデータを見ていても、各人の主観的な捉え方=認知は一致することの方が少ない。個人の主観的考えは、自身の知識、経験に基づいて形成されるが、70 億人が住む広い世界で一人の人間が持ちうる知識や経験の範囲は狭く限られていることを考慮すれば、人によって認知が異なるのは当然のことであろう。それを前提とすれば、職場での対人関係、顧客との関係やアウトプットの仕方など、仕事におけるあらゆる場面で相手の認知を推し量り、認知の違いを埋める努力が必要となる。

3.「共同体感覚」
人は社会の網に組み込まれており、自分の利益だけでなく、共同体の利益を考えて行動し、共同体への貢献が、共同体において醸成される信頼感と共に、自身の幸福につながるという考え方だ。ただし、その感覚は人が生まれついてから持つものの、無意識下に潜在してしまうため、意識して育成する必要があるとも指摘している。確かに、会社などの組織内、そして取引先や協力先などのステークホルダーを含めたつながりも共同体のひとつと捉えれば、そうした考え方は職場にも当てはまると共に、共同体感覚が育っておらず「私的理論」を振りかざす人が多い職場環境では、そこで悩む人も少なくないといえよう。

 
「こうした観点を鑑み職場で進めたいこととの一つとして、「企業文化と理念浸透」を挙げたい。

会社組織が目指すべき方向や重きを置く価値観に、そこで働く人が共感を持つことは、共同体感覚の醸成に大いに寄与する。但し、その前提として組織が、共同体感覚が定着した人達で構成されていることが必須である。つまり、労働人口が減少で人材の採用は苦難を極めるが、さらに共通の価値観を持った人間をどう集めるかが重要な鍵となる。認知論が諭すように、メッセージの受け取り方は人によって異なるため、組織文化や理念の一方的な押し付けはできない。いかにして、採用時に見抜くのか?企業側の明確なメッセージの打ち出しが最初の一歩となる。

但し、価値観が揃う人材を集められたとしても、認知論の違いまでは埋められない。そこで、継続的な社内コミュニケーションに通して、経営と社員、社員間で互いの理解を深め、信頼感を高めていくことが必要だ。企業文化と企業理念は、その際の共通軸となるだろう。

共同体感覚は、Googleがチームの生産性向上への最大キーとする「心理的安全性(psychological safety)」をはじめ、様々な働く方への指摘とも整合する。アドラー心理学の目指す所は個人の幸福にあるが、ここで挙げたポイントの改善は、会社などの組織における環境、そしてそこで働く個々の人が置かれる環境、両面の向上につながるはずだ。それが、ビジネス書としても多くの読者に響いているのであろう。「嫌われる勇気」に続く、アドラー書の2冊目のタイトルは「幸せになる勇気」だ。幸福な働き手を増やしていくために、働き手自身と、会社つまり経営側が共に「勇気」を持って取り組んで行きたい。

マクドナルドの『業績回復と経営改革』

日本マクドナルドの業績はV字回復中である。これまで同社では、藤田氏、原田氏、カサノバ氏と歴代3人のトップを迎えてきた。それぞれが経営のプロであり、顧客視点のマーケティング志向に関しては共通していた。しかし、経営スタイルには違いがあったように見える。

藤田氏は孫正義氏が師と仰いだほどの経営手腕を持ち、彼の就任時は、経済成長と食文化の欧米化が進むファーストフードチェーンには追い風の時代でもあった。藤田氏個人の好物はうどんであり、ハンバーガーは商品として割り切ってビジネス展開をしていたという。自身が情熱を感じない商品でも事業を成功させる点では、生粋の「商人」だったといえよう。

そうした時代の流れが追い風から向かい風に変化する中で後を継いだ原田氏は、当然のことながら難しい舵取りを余儀なくされた。業績悪化の引き金として記憶に残っているのは、中国からの鶏肉調達問題だったが、それ以前から客離れや客層の変化は起こっていたのだ。それらの状況の対応の前後の足跡で、全体合理性起点にするアプローチの原田氏は典型的な「MBA型リーダー」とい言えそうだ。デフレ市場では会社が縮小均衡に向かいやすく、トップダウンの中央集権は現場の離散を招きやすい。

それに対し、女性経営者であるカサノバ氏のスタイルはよりボトムアップ的で、時代流れを汲み、方向性を指し示す良い意味での「風見鶏型」と言えよう。あるフランチャイズ・オーナーは、原田氏とカサノバ氏の違いに、現場への経営の方向性掲示の有無を挙げている。顧客や社員、パートナーなどの声に耳を傾けると共に、会社の戦略・方針を組織全体に伝えていくのである。カサノバ氏は、全国の店舗を廻り、客だけでなく従業員とも会話して現場の声を掬い取る。そうした姿勢が信頼を呼ぶのかもしれない。

カサノバ氏はさらに、女性たちや母親目線を重視しているように見える。家族の財布と胃袋を掴んでいるだけでなく、口コミ発信源にもなる、そうした層を重視する賢さも貢献しているようだ。特に女性からの意見では、店舗の衛生面や整理整頓の指摘も多いようだ。環境整備が行き届いた店舗は顧客から評価されるだけでなく、そこで働く人達のモチベーションにもプラスになる工夫を凝らした。

現在V字回復をしている最中、今後は2019年3月から新社長となった日色保氏の今後の動きに注目していくことになるだろう。時代の流れ、風の向き、市場や企業に関わる人、すべては常に変化していく。日本マクドナルドの歴代トップによる経営変革にはダイバーシティ時代の生き残りのヒントが見えてくる。

人材争奪時代の「採用面接」に必要な考え方

すでに多くの先進国では、人材争奪時代に入り、女性、外国人、シニアの採用は必須となっている。では日本企業の雇用現場では、どうなのか?どのような人材を求め、採用手法を使い、プロセスを実践し、雇用につなげているのだろうか?社長ひとりのグローバル・ダイバーシティ化への旗振りだけで、戦略人事として新しい人材獲得の採用に着手している企業はまだ少ない。

成功しているダイバーシティ企業はどのような面接をして人選をおこなっているのだろう?多くの企業を調べてみると、「スキルフィット」(技術力、能力の一致)と「カルチャーフィット」(企業文化、働き方の一致)の両サイドからフィット率の高い人間を探すことで定着を実現させている。

日本の一般的な面接質問の王道は

■上司や同僚とのコミュニケーションを円滑にするために大事なことは何か?
■あなたはチームプレイヤーか?
■あなたの強みを、当社のどこで発揮できると思うか?

これらの模範解答は、ネットなどにも溢れており、王道の質問には誰でも完璧な回答ができるのも、事実である。

『聞き方、見極め方は面接官のセンスにあり!』

では、アメリカの成功している企業の主な「質問例」はどうだろう。アメリカと日本では、文化背景、会社の特性、働き方の概念も大きく違うとはいえ、ユニークなものがたくさんある。社長の理念やワークスタイルがユニークであれば、当然のように質問内容もユニークになる。

◆ZAPPOS社の質問
「あなたの奇抜度は10点満点で何点?」
→見極めポイント:答えた点数ではなく、”どう答えるか”が社風にあっているか。

◆OVERSTOCK社の質問
「自分を動物に例えてください。」
→見極めポイント:どの動物かの理由から、その人の本質を見る。

◆CAPRIOTTI’S SANDWITCH SHOP社の質問
「ゾンビに襲われたら?」
→見極めポイント:正解はなく、状況をどう捉え行動するかのモラル。

◆WARBY PARKER社の質問
「最近、どんな仮装をした?」
→見極めポイント:何を着たか、ではなく、なぜ着たか?

アメリカの奇抜な質問とは聞き方は違うが、見極めたいポイントは日本の企業も同じである。自分の強みや個性を理解しているか、その上でどんな協調性や柔軟性のある言動を起こせるのか。奇抜な質問には模範解答がない分、自身の感性と言葉で答える以外に回答する道はない。

同時に面接官側に求められるものも同様で、企業のグローバル化とダイバーシティ社会において優れた人材を雇用するなら、まずは面接担当者本人が、自らの用意した質問集に、自分の言葉で明確に回答できているかを再確認してみるのが良いだろう。自社の企業文化の理解し満足しているのか、自分自身が会社という職場環境の中で何を感じ、何を思い、どう働いていきたいかを認識しているかも重要なのではないだろうか。それが、初対面の採用候補者の答える言葉のひとつひとつや態度からくみ取れるメッセージを、見極め能力を高めるのである。面接官は、会社の顔でなくてはならない。

会社独自の企業文化を反映させるオリジナルの雇用面接質問集が作れる人事部ならば、会社の未来構築にも大きく貢献できることだろう。あなたの会社の人事は、面接者は、会社で一番の憧れの存在だろうか?
「人材が採用できない」と嘆く前に、社長、面接官を変えてみては?

ユニリーバから学ぶ「働き方の多様化」

働き方改革の主要テーマの一つ「働き方の多様化」に様々な企業が取り組み始めている。在宅勤務や勤務時間の自由化などの大胆な働き方改革の導入に際しては、経営者からは「社員がサボらないか」「社員間のコミュニケーションは取れるのか」といった懸念がよく聞かれる。よくよく考えれば、オフィスに出勤しているからといってすべての社員の働き方の生産性があがり、顔を合わせていれば良好なコミュニケーションが取れることになるかが確約されている訳ではない。むしろ、単に出勤することだけで、生産性が低かったり、うわべだけのコミュニケーションで済まされている場合さえある。ただ、これまでの日本企業や日本人の働き方の長年の習慣が、形式的な制度導入だけで魔法のように変わることを期待するのは現実的ではない。

「働き方の多様化」の成功例のひとつとして、ユニリーバ・ジャパンの「WAA(Work from Anywhere and Anytime)」が挙げられる。

  • 上司に申請すれば、理由を問わず、会社以外の場所(自宅、カフェ、図書館など)での勤務可能
  • 平日の6時~21時の間で自由に勤務時間や休憩時間を設定可能
  • 全社員対象で、期間や日数の制限なし

という制度で、全社員がそれぞれのライフスタイルを楽しみながら自分らしく働き、生産性を高めることで、企業として持続的成長を目指すというものだ。活用例として、子育てしながら、または運動や趣味に時間を使いながらの勤務形態も示している。
 

『働き方の多様化で女性管理職比が向上』

ユニリーバは導入の背景として、ダイバーシティ(多様性)推進を重要経営戦略と位置付け、採用・昇進の際の機会均等と働き方の多様化に向けた、職場環境と制度整備を挙げている。これまでの取り組みで、すでに同社の女性管理職比率は31%に達するという。これは、2015年の国別ランキングで108カ国中の96位に甘んじる日本の女性管理職比平均の6%台を大きく上回る。政府が長期的目標として掲げる30%をすでに達成しているが、WAA導入で今後もさらに上昇するであろう。導入から3カ月後の社内アンケートでは、約9割の社員が制度を利用しており、そのうち約7割は「毎日にポジティブな変化があった」と回答しているという。

旅行業界大手のJTBでも、ダイバーシティ推進を掲げており、女性管理職比率が30%を超え、女性活躍推進への行動計画をグループ各社で設定している。

ここで重要なことは制度を設定することだけではない。実効性を高めるために、制度導入に先立ち、会社と社員の理念を共有し、働き方への意識と習慣に柔軟性も持ち、導入する制度を使いこなせるよう、周到に準備することである。社員は会社で働くことの意義と自らの役割を理解し、働き方の多様化の恩恵で自分自身の生活が向上すると認識し、経営者は社員を信じると共に、新制度を生かす職場環境の整備に取り組む覚悟が求められる。それぞれの会社が企業文化と社員の意識レベルに合わせて働き方の多様化を進め、働き方改革の地道なステップを踏んでいくことで、変化が現実となり、新たな成功事例が生まれることだろう。

「社内コミュニケーション」の秘訣は共感力にあり

職場環境改善や業績向上に、社員幸福度の重要性を関係づけて考えることが当たり前の時代になってきた。その社員幸福度を高めるための改善ポイントとして、常に挙げられるのが、社内コミュニケーションの問題である。「社内コミュニケーションに課題があると思うか」という質問調査では、企業規模を問わず8割近い企業が「課題を感じる」と答えている。

 

まずはこの写真。


写真のチョイスが秀逸として有名な無料健康情報誌『ヘルス・グラフィックマガジン』の頭痛特集号の表紙。

頭痛を経験したことある人なら、見ただけで頭痛の体感が蘇るのはもちろん、「きっとわかりやすい頭痛対処法が載っているに違いない」という期待感と信頼感まで得られる。非言語コミュニケーションが見事に活用されたケースであり、発信者と受け手が一瞬で情報共有すること、すなわち共感できることが最高レベルのコミュニケーションとわかる。共感する力こそが、そもそもコミュニケーションの基本である。

職場環境と働き方改革の現場で、社内コミュニケーション問題について伺うと、

    • うまく伝えたいが、自分の意図とは違うように受け取られてしまう。
    • 何度同じことを説明しても、相手が理解してくれず困っている。
    • 相手は人の話を聞く姿勢すらなく、聞いているフリだけ。

といった答えが多く、
社員コミュニケーションが取れない理由、またあきらめる理由に共感力の不足」
その原因として「値観感の違い」をあげる人が多い。

価値観の共有でコミュニケーションが改善され、幸福度の高い職場環境の構築につながるのであれば、職場の価値観とは何なのか?優秀な社員なら「企業理念が共有できていること」と即答するだろう。確かに企業理念とは会社の価値観であり、会社の存在と目的そのものである。組織が機能するための命綱のようなものだ。だからこそ、一つの価値観を共有するために、社員個人レベルの共感力が大事になる。個人レベルでも共感できる会社の価値観は、極めてシンプルなものであっても良いのではないだろうか。

 【会社の業績向上は、最終的には自分の幸せにつながっている】

この認識が共有され、共感されることで、企業理念の浸透も、円滑なコミュニケーションも格段に改善されるはずである。社内コミュニケーション問題の最たる原因ともされる「価値観の違い」とは、会社も、企業理念も、職場でのコミュニケーションも、すべてが自分の人生に関わる重要案件だと認識しているかどうかの感覚が、不揃いだったというだけなのだ。

『職場での価値観の共有には共感力』

同じ風景を見て、それを美しいと感じるかどうかを、価値観の相違の判断基準にするならば、同じように「美しい」と感じる人は価値観の合う人同士となる。しかし、何に、なぜ、どのくらい美しいと感じるのか、その美しさが自分の人生にどう関係するのかまで掘りさげたレベルでは「まったく同じ」という人は存在しえない。価値観と幸福度はまさに、個人の人生の「これまで」と「今」と「これから」のかけ合わせなのだ。

企業理念共有のツールとして、会社のロゴ、紹介動画やブックレット、社報などの非言語コミュニケーションをシンプルに感覚的に使って共感力を高めるのは効果的である。それに合わせて、個人の幸福度という共感力をベースにした社内コミュニケーションを重要視することは、これからのどの職場にも強く求められていくことになるだろう。

育った背景、これまでの人生経験、現在の生活習慣や環境、生きがい、すべてに違う者同士が、会社という組織の中で、ひとつの目的に向かって進んでいくには、ひとりひとりの幸福度を高く保てるかどうかに最終的にたどり着く。幸福度の高い人は、自ずと共感力も高くなる。

職場における価値観の共有は、共感力という社内コミュニケーションを磨くことで大きく改善されるだろう。