インフルエンザと職場環境改善の課題

この冬のインフルエンザの猛威には心穏やかではいられない。どの職場でもすでにインフルエンザにかかってしまった方もおられるのではないだろうか。インフルエンザはもとより、仕事を休まざるをえなかったり、出社しても業務効率が低下しまうなど、どれほど高いスキルを持つ優秀な社員でも、健康な状態でなければアウトプットの質も量も劣化する。

以前のコラムでもご紹介した健康経営の主旨は、インフルエンザの全国的な猛威となるような状態にあっても生産性の低下を会社ぐるみで阻止できる経営スタイルを構築するというものである。

人間、具合が悪ければ、本人の仕事のクオリティを当然にして押し下げ、ワークライフバランスにも影響を及ぼす。つまり業務上の生産性低下に限らず、社員の幸福度そのものも下げることになるのだ。社員幸福度を高めたい企業にとっては、社員自身の健康管理と共に、会社として職場の健康維持に取り組む意義が大いにある。インフルエンザに関しては、健康管理やマスク着用等本人の心掛けに加え、会社主導による予防接種の実施に始まり、ウィルスが働きやすい低温で乾燥した環境や、社員の免疫力を阻害するような業務負担の回避といった対策も考えられる。

東京都には、インフルエンザ対策と関連して、「感染症対応力向上プロジェクト」というものがある。

東京都が取り組む背景には、2020年のオリンピックに向け来訪者が増える時期に、風疹などが流行するリスクを懸念していることにあるのだが、そうしたイベントの有無に関わらず、感染症が及ぼし得る企業経営への影響に備えておくことは経営の観点から看過すべきでない。具体的には、プロジェクトで推奨されている社員向け研修の実施と、感染症にあっても対応できる事業継続計画を用意することを検討してはどうだろう。

インフルエンザに関して言えば、ウィルス感染は本人の症状に出る潜伏期間だけでなく、症状の治まった後でも起こりえる。インフルエンザなどに掛かった社員は、体調が回復すれば仕事を取り返そうと職場に復帰するのが普通だが、そこで気をつけないと他の社員に感染し、職場全体への影響が長引くことにもなる。

もし会社に、在宅勤務制度が設定されていれば、まず在宅から仕事を再開することで、そうした事態を防ぐ手立てにもなるだろう。ワークスタイル改革の下、働き方の多様化は、感染症対策にもなると言うことだ。当然ながら、普段から清潔で換気がゆきとどいた快適な職場環境も、ウィルスの生存率抑制と、社員の免疫力維持に役立つのである。

春の足音が聞けるようになるまで、まだ少し時を待たなければならない。願わくはこの時期にこそ、風邪やインフルエンザを始めとする感染症対策を確立させたい。インフルエンザの季節は毎年確実にやって来る。同時に、社員幸福度向上の一貫として社員の健康を維持する取り組みは通年の課題であることも再認識したい。

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