今年の幸福度ランキングを読み解く

今年も国連による世界幸福度ランキングの最新版が公表された。首位はノルウェーからフィンランドに入れ替わったが、デンマークやスイスといった常連組が今年も上位を占めている。今年の報告書には新たな特色があり、それは移民の幸福度にスポットが当てられていることだ。

全体的な傾向として、移民の幸福度と地元生まれの人の幸福度の相関性は非常に高い。フィンランドは移民の幸福度でもトップであり、同様にランキング上位の国は、移民の幸福度ランキングでも上位に入る。

そうした傾向の中でも例外なのが日本である。全体の順位では相変わらず54位と振るわないのだが、移民の幸福度に関しては25位と大幅に改善した。「ガラパゴス」的な日本に海外から移り住むのには、相応のストレスに堪える寛容性が要るとも思われるのだが、一度慣れてしまえばやはり日本は住みやすい国なのだろう。

実際、「一人当たりのGDP」「平均健康寿命」「社会的支援」「人生における選択の自由度」といった指標の大半では、上位国と日本のスコアに大きな差異はない。これに対して、顕著に劣るのが「政府や企業への信頼度」と「それ以外」である。政府への信頼度の低さは残念ながら誰も納得が行く所だろう。そして働く人と企業との関係における互いの信頼度には、構造的かつ継続的変化が影響していると考えられる。労働環境の観点から比較すると、フィンランドはじめランキング上位国はすべからく、年功序列や終身雇用もなく転職が容易、そして労働時間が短い。社会保障が手厚い一方で、労働者の自立度が高く、企業との対等な関係性が構築されている。働く側が自己責任の上でキャリアから労働時間まで選択する自由度が、ライフワークバランス向上を通して幸福度を高めることにもつながっているのではないだろうか。日本でも緩やかではあるがそうした素地は広がりつつあり、やはり働き方改革の下で、働き手の自立度が高まれば、上位国に近づけるだろう。

では、「それ以外」の源泉は何だろうか。以前ご紹介した幸福度調査に関するコラムでは「幸せを他人と比較して決める傾向」「自己主張と自己評価が控えめな国民性」といった定説に加え、日本にありがちな「不幸自慢」を指摘した。今回の移民とのギャップは、そうした国民性の独特さを裏付けているように見える。今後、移民をはじめ日本の職場で働く「非ネイティブ日本人」が増えて行くにあたり、同じレベルの幸福度を持って、違いを融合し多様化の進んだ職場となるためには、そうした日本人特有の気質にも変化が求められることになるだろう。

 毎年国連が発表する世界幸福度ランキングのレポートには、グローバルな観点から日本の働く環境を改善していくヒントがある。会社レベルで取り組む社員幸福度向上、思考や気質の国際化、多様化を促す研修や教育の提供、人材管理のトレーニングが必要不可欠な時代である。

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