良質のネガティブ、はじめました!

どこの会社にも「ネガティブ社員」はいるものだ。残念ながら、経営者がネガティブである場合も無きにしも非ず。

いわゆる一般的な「ネガティブ社員」の弊害は、他者へ悪影響を与えてしまうことである。自己他者を問わず批判や非難が多いのはもちろん、言動のすべてで周囲全体の士気を落とし、時には攻撃的にもなる。ハラスメントの加害者にも被害者にもなりやすい存在である。

当然、職場では「ポジティブ」「前向き思考」であることが、良いとされる。しかし、本来ネガティブとは「悪」ではない。単にポジティブの相対にあるだけのもので、ポジティブとネガティブは表裏一体、両方あってひとつの物事が存在するものでもある。ひとりの人間も、大きな職場も同様なのだ。

表裏一体にあるものだからこそ、微妙なきっかけで、ポジティブもネガティブも良質のものか危ないものかに姿を変えてしまう。

職場においての良質のネガティブとは、配慮あるブレーキ役のことである。「常にアクセル全開」になりがちな危ないポジティブに対しても、落ち着いて向き合い、冷静な判断で絶妙なブレーキをかける。良質なネガティブ思考は、危険管理や想定外に立ち向かえる能力を高める。

ネガティブ思考が良質に働くかどうかは、その人の感情が良質であるかだ。ネガティブ言動の基盤が「怒り」や「攻撃」「批判」「妬み」「悪口」といったものでなければ、良質なネガティブによる言動は人を傷つけるものではない。ネガティブが良質になるか危険になるかの鍵は、「人生の目標が明確であり、自身の幸福感に責任を持っている」ということだ。

会社内のネガティブとポジティブは、その質とバランスにかかってくる。ようやく日本でも会社経営のノウハウや社員教育に、幸福学やポジティブ心理学の導入が行われるようになってきた。どうしても「社員みなポジティブ」を無理やり目指すプロジェクトのように思われがちだが、幸福学の基盤は、そもそもネガティブとポジティブを差別化したり、どちらかに優劣をつけるものではない。どちらも良質に保つこと、そして人生でも職場でも、あらゆる場面で活かすことのできる意識バランスの習得なのだ。

ネガティブ社員を無理やりポジティブ社員にしようとするより、幸福学を通して良質なネガティブとは何かを学びとること、人生や仕事での目標達成を明確に行えるように導く方が、発展的ではないだろうか。