ダイバーシティ人事の「悪い見本」

USオープンテニスで優勝した大坂なおみ選手が来日した時の記者会見をご覧になった方も多いだろう。

大坂選手の「プロとしての仕事のスキル=テニスについて」ではなく、彼女の国籍や人種にかかわる話題ばかりに注目が集ってしまったことに違和感はなかっただろうか?大坂選手はもちまえのユーモアも交えて何とかかわしていたが、実際は彼女にとっては非常に不可解で不愉快な会見だったかもしれない。

残念ながら日本では「ダイバーシティ(多様性)」、とくに国籍や人種の多様性を持った人や文化への対応がまだまだ日常化しておらず、非常に「下手」である。その一方で、国籍や人種への関心だけは異常なまでに高いので、よほど気を付けておかないと大坂選手のようなレベルの高いプロフェッショナルスキルを持ったアスリートに対しても「悪気なく」国籍や人種の話題を振ってしまう。

多くの日本企業がビジネスを国際化するに伴い、「ダイバーシティ」を推進する動きが見られる。国際ビジネスを成功に導くには、多国籍多人種にわたるレベルの高いプロフェッショナル、つまりはレベルの高い「ダイバーシティ人材」の雇用が必須である。

大坂選手のようなハイレベルな「ダイバーシティ人材」は、アスリート界だけでなく、今後どのような業界・職種であっても確実に増加し、活躍する。国籍や人種に関係なく、自身のスキルを極めることによってプロとして仕事をしているという自負と自信=「プライド」が非常に高い人材たちにとっては、その高いプライドそのものがハイレベルな力を発揮するモチベーションになっているのだ。そのような人材に対しては、「プロとしてのスキル」に焦点を向けてコミュニケーションすることが非常に重要なのだ。国籍がどうしたとか、人種が何だとか、挙句に「日本で何を食べたのか」「今日も真珠のピアスはしているのか」などという質問は、プロスキルにはまったく関係がない。

大坂選手の記者会見は、是非これからの日本のダイバーシティ人事の「悪い見本」にしていただきたい。その人の功績や才能よりも先に国籍や人種つい焦点を当ててしまいがちであるが、国籍や人種にしか興味を示さないようでは、レベルの高いダイバーシティ人材ほどプライドが傷つき、モチベーションが下がり、本来の力を出しづらくなる。そうなってしまってはその人材にとってはもちろんのこと、企業にとって大きな損失である。

ダイバーシティ人材の獲得で、会社の将来が大きく変わるという日本企業も多いだろう。今や、世界のトップクラスの経営者たちが、成功する企業の構築の基盤には、「まずは思いやりである」と明言する。思いやりの心を以てすれば「興味本位」と「関心」の違いも明確になる。会社の未来にダイバーシティ人材を望むのであれば、「思いやり」のレベルも国際規格まで上げることだ。

 

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