個人的な夢を語る社員は有害か有益か?

これまでは「個人の人生目標や夢を会社で語られても困る」という経営者が多かった。

社員幸福度の高さが株価や企業価値に比例するという世界の調査事例や、幸福学と経営学の関連性にメディアや経済界が着目するようになったことで、個人の人生目標が高い社員の方は会社でのパフォーマンスも高くなるという考えが広まりつつある、ようやく!

 とはいえ、個人の人生目標であっても「できれば会社目標に関連するもの」「業務に関わること」を暗黙に求めてしまう経営者や管理職はいまだに多い。個人目標を持つのは良いが、個人的な夢のレベルならば、会社には関連付けられないし、関連付けて欲しくない。ときには、人生の目標が明確になることで会社を辞めてしまうのではないか、という懸念すら起こる。

「個人の目標や夢の話は、会社を辞めたくならない程度にお願いします」

 とは、社員研修先で実際に言われた言葉である。理由は、自分の夢や目標を再認識することで、「この会社に自分がいるべきではないのではないか」と考えて辞めてしまうのではないかというのだ。危機感を感じるポイント自体がずれている。

 個人的な夢を持つ社員は会社にとって有害なのか有益なのか。この答えがどう出るのかは、社員個人の問題というより、会社目標の共有、企業理念の浸透、職場環境の状態、さらには上司や経営者の「生き方・働き方」が社員にどう見えているのかの影響が大きい。離職が止まらない原因もそこにある。

 才能を見込まれている20代の男性社員が、絞り出して答えた目標が「週末に会社のケータイを気にせず過ごし、土曜日の昼間から飲んで、日曜日に二日酔いになりたい」だった。目標が二日酔いしても大丈夫な日曜日…。40代の管理職男性は「住宅ローンの返済以外は何もない」と語った。

企業文化や職場環境がいつのまにか、壮大でもささやかでも人生の夢を持つという心の余裕を社員から奪ってしまうようなものになっていないかに目を向けることも必要だ。

社員が個人的な人生目標や夢に目を向けることで、業務に集中できなくなる、会社を辞めたくなる、自分勝手になる…という得体の知れない不安や不信感を感じているのなら、経営者や管理職からあらためて自分自身の仕事以外の夢を確認してみてはどうだろう。

 それでもなお、個人的な夢を持つことは、会社業績に全く関係しない、むしろ無駄であると感じるのであれば、ブレずにそのように企業文化を整え、同じように感じる社員が自然と集まり結束することを信じるべきである。

ただしその場合、真逆の考えの企業がどんどん成功していくことに一切文句は言わないことが鉄則である。