ジャパネットたかたができてジョブズができなかったこと

かつては日本でスマホといえばiphoneであり、新機種発売当日は販売店前は長蛇の列ができたほどだったが、近年ではの日本のスマホ市場のiPhoneのシェアは大きく減少傾向にある。

実は世界全体でのiphone (iOS)シェアを見てみると、日本だけがiphoneのシェアが特別に高かったのである。

 2017年末時点における世界各国のスマホOSシェア(出典:カンタージャパン)

 日本でのiphoneの圧倒的人気の大きな要因は、価格や性能は無論だが、何よりもスティーブ・ジョブズ氏の「アイドル性」が日本人の中でことのほか高かった。日本の消費においては、アイドル=アイコンの存在が購買動機に大きく関わる傾向がある。ジョブズ氏という「アイドル」=apple社を体現するヒーローとなり、日本人にiphoneを買わせた。こうした「アイコンの訴求力」の強さは、日本は他国に比べて顕著である。

 ジョブズ氏の死去とともに、日本人はapple社のカリスマアイドルを失い、徐々にiphoneから離れて行ったともされている。さらには中高生という新しいスマホユーザーにとっての購入動機となるだけのジョブズ氏のアイドル性は減少していった。

 これとは全く逆の「アイコンの訴求力」を発揮したのは、テレビ通販の「ジャパネットたかた」である。ご存じのように「ジャパネットたかた」は、創業2代目の高田社長が独特のキャラクターで自ら出演することで、テレビ通販の売上を莫大に伸ばした企業である。テレビ画面の中の高田社長の姿、声、口調、そして商品説明スタイルそのものがブランドとなったわけで、つまりは高田社長は同社におけるジョブズ氏のような「アイコン」だったのだ。消費者は、高田社長ありきで「ジャパネットたかた」から商品を買い、日本トップクラスの通販企業に成長した。

 高田社長はご自身がまだ十分働けるうちに、社長自身が育てた社員にテレビ通販を全て任せて「引退」をした。ご自身が出演していた頃から、こつこつと社員育成することで、自分が出演せずとも「ジャパネットたかた」のテレビ通販ビジネスを維持できる体制をつくり成功させた。しかも、息子である3代目に自分と同じようなアイコンになることを継がせることはなく、テレビ放送には一切出していない。今やジャパネットたかたの顔となるテレビ出演は、複数の社員に見事に引き継がれ、ブランドイメージとして継承されている。Apple社とは対照的に、「ジャパネットたかた」は高田社長という特定のアイコンなしでも売上を維持できる会社になった。

 「社長の顔が会社の顔」、つまり社長が「アイドル=アイコン」となっている会社は多い。起業一代目では非常によくあることで、それが事業の基盤づくりに大きく貢献することも多くそれを否定するものではない。しかし、一代目のカリスマ社長や、apple社のような超アイドル社長が居なくなったときに会社の顔が失われ、その顔によって取引をしてくれていた取引先、あるいは顧客が離れてしまうことも往々にしてあるのだ。

肝心なことは、体制をいつまで、どのように続けるかの引き際だ。適切な時期に「会社の顔」をリフレッシュし、社長が変わっても商売がきちんと維持できる体制をつくることができるよう、日頃からの組織構築や人材のアップデートが得策となる。ぜひご一考を戴きたい。