【働き方改革】使命を持ったシニアの働く理由

 働き方改革のヒントは、さまざまな形の出会いの中にあったりする。ベトナムのホーチミンシティからのフライト機上で、ご年配のアメリカ男性と会話する機会があった。お歳は80を超えていそうだが、ベトナムの官民の関係者と会うため、ワシントンDCとベトナムを年に何回も行き来しているという。ベトナムとのつながりはベトナム戦争時の海軍従事に遡り、数年前に他界した奥さんもベトナム人だったとのこと。機上の隣人は日本の事情にも造詣が深く、楽しい会話が続いた。

 そのうち、彼が携わった米国での事業の話になり、長らくGEのアジア事業へのコンサルなどを務めた後、今は数社のベンチャー企業にも携わっているという。話しをしていて、ふと聞いてみたくなった「その歳でも働く動機になっているのは何なのか?」と。

 見た所、体力的には相応に老いておられる様子で、長いフライトは楽ではないだろう。経済的にも、おそらく年金で十分な生活ができる(退役軍人のステータスがあれば尚のこと)とお見受したからだ。その問いへの彼の答えは、「妻を亡くしてから特に、ベトナムとアメリカの橋渡しとして貢献し続けることに、自身の使命を感じるようになったから」というものだった。

人生の使命感と幸福度のあり方が働き方を変える

 ここに年齢による幸福度の変化をグラフにしたものがある。ブルーのラインはアメリカのもの、もうひとつは日本のものだ。

 アメリカのグラフは諸外国の調査結果とも一致するもので、年齢と幸福の間にU字型の関係があるという結果を示している。つまり若者と高齢者は、熟年層よりも幸福度が高いということ。その理由は、若者たちには希望があり、違う言い方をすれば、社会の厳しさに直面する前で、ある程度高い幸福度を感じている。それが熟年層に入り、自分の人生がある程度定まり、ときには若い頃の野心や目標の実現をあきらめがちになり、幸福度が一時的に下がるように感じる傾向にある。しかしその後、高齢期に入ってからは後半の人生を楽しく充実させようとすることで使命感とともに幸福度が再び高まる、と考えられている。

 一方で、日本の推移の結果は、世界的にも極めて特異と言われている。若い時の幸福度がむやみに高いのも驚きだが、下がり続けて67歳をドン底に下がりきったところから、79歳にかけて幸福度はほとんど高まることなく続いていく。

 機上の隣人は、まさにブルーのU字型ラインをそのままに生きているのだろう。 人が働く理由も、その先に幸福を感じる理由も様々であり、同じ人でも年齢や状況といった人生のステージに拠り変化していくものである。労働においては、日本では若年労働人口が減る傾向にあり、女性や外国人と並び、高齢者の労働参加も期待されている。忍び寄る年金財政の逼迫等から経済的な理由で働き続ける人も増えそうだが、それでも自らの「使命」や「生きがい」を動機付けに働く人が増えれば、職場環境は社員幸福度が高くなり、企業の活気にも繋がるのではないだろうか。

 使命や生きがいを持って生きること働くことは、個人の経験や考えに由来するもので、会社の社員教育で与えられるものでもない。しかし、使命や生きがいをもった働き手が活かされるポジションや職場環境を提供できる会社が増えてこそ、幸せな日本人が増えていくことつながっていく。個人の意識の高さも、企業の持つ役割も、ともに重要となる。

文:鈴木一秀 シニアコンサルタント

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