職場環境改善へのステップが理想を現実に変える

働き方改革、職場環境改善の主要テーマの一つ、「多様化」に様々な企業が取り組み始めている。在宅勤務や勤務時間の自由化などの大胆な働き方改革の導入に際しては、経営者からは「社員がサボらないか」「社員間のコミュニケーションは取れるのか」といった懸念がよく聞かれる。よくよく考えれば、オフィスに出勤しているからといってすべての社員の働き方が生産性がどうかや、顔を合わせていれば良好なコミュニケーションが取れることになるかが確約されている訳ではない。むしろ、単に出勤することだけで生産性が低かったり、うわべだけのコミュニケーションで済まされている場合さえある。ただ、これまでの日本企業や日本人の働き方の長年の習慣が、形式的な制度導入だけで魔法のように変わることを期待するのは現実的ではない。

成功例のひとつとして、ユニリーバ・ジャパンの「WAA(Work from Anywhere and Anytime)」。

  • 上司に申請すれば、理由を問わず、会社以外の場所(自宅、カフェ、図書館など)での勤務可能。
  • 平日の6時~21時の間で自由に勤務時間や休憩時間を設定可能。
  • 全社員対象で、期間や日数の制限なし

という制度で、全社員がそれぞれのライフスタイルを楽しみながら自分らしく働き、生産性を高めることで、企業として持続的成長を目指すというものだ。活用例として、子育てしながら、または運動や趣味に時間を使いながらの勤務形態も示している。

働き方の多様化で女性管理職比が向上

ユニリーバは導入の背景として、ダイバーシティ(多様性)推進を重要経営戦略と位置付け、採用・昇進の際の機会均等と働き方の多様化に向けた、職場環境と制度整備を挙げている。これまでの取り組みで、すでに同社の女性管理職比率は31%に達するという。これは、2015年の国別ランキングで108カ国中の96位に甘んじる日本の女性管理職比平均の6%台を大きく上回る。政府が長期的目標として掲げる30%をすでに達成しているが、WAA導入で今後もさらに上昇するであろう。導入から3カ月後の社内アンケートでは、約9割の社員が制度を利用しており、そのうち約7割は「毎日にポジティブな変化があった」と回答しているという。

旅行業界大手のJTBでも、ダイバーシティー推進を掲げており、女性管理職比率が30%を超え、女性活躍推進への行動計画をグループ各社で設定している。

ここで重要なことは制度を設定することだけではない。実効性を高めるために、制度導入に先立ち、会社と社員の理念を共有し、働き方への意識と習慣に柔軟性も持ち、導入する制度を使いこなせるよう、周到に準備することである。社員は会社で働くことの意義と自らの役割を理解し、働き方の多様化の恩恵で自分自身の生活が向上すると認識し、経営者は社員を信じると共に、新制度を生かす職場環境の整備に取り組む覚悟が求められる。それぞれの会社が企業文化と社員の意識レベルに合わせて働き方の多様化を進め、職場環境改善の地道なステップを踏んでいくことで、変化が現実となり、新たな成功事例が生まれることだろう。

文:鈴木一秀 シニアコンサルタント

カルチャリアの無料セミナーシリーズ第二弾は、目からウロコの職場環境改善セミナー「机回り2mを変えれば、業績が変わる!」9月27日の開催です 詳細・お申込みはコチラ