笑っていますか?稼げていますか?

「笑い」と健康の関係性は、医学的にも実証されつつあり、予防医学や病気治療にも効果があると言われている。人間が笑うことで生産される情報伝達物質の善玉神経ペプチドは、血液やリンパ液を通じて、体内のNK細胞(ナチュラルキラー細胞、リンパ球の一種)を活性化させる。その結果、がん細胞やウィルスを攻撃し、免疫力が高まるという。その一方で、ストレスや怒り、悲しみの感情は、NK細胞の働きを鈍らせてしまい免疫力が落ちる。

 実際に2062歳の男女に漫才や喜劇を約3時間見せ、その前後で血中のナチュラルキラー細胞の活性化の度合いを調査した結果、調査前に正常値より低かった人は、「笑った後」には全員の値が上昇、正常値だった人も全員が高い数値を出したという。平均値以下の数値だった人たちのNK活性化の上昇変化は、がん治療の免疫療法薬の投与による上昇速度よりもはるかに速かったという。

笑いが健康や長寿につながることは想像がつきやすいが、生産性はどうだろうか。ナチュラルキラー細胞は、仕事の生産性も活性化させてくれるのか。

 イギリスのウォーリック大学経済学部の研究チームが、しあわせな気持ちで仕事に取り組んだ人は生産性が12%も上がると実証した。論文「Happiness and Productivity(幸福と生産性)」では、人間の気持ちが生産性に与える影響を検証するため、713人の被験者を半分づつのサブグループに分け、一方のグループのみにある条件を与え、一方には与えずに、同じ作業をしてもらうという実験を行った。その実験の中にコメディ映画を見せたチームと見せなかったチームの実験がある。

作業前にコメディ映画を見たグループは、見なかったグループよりも優れた成績となり、さらには、コメディ映画を見たグループの男性は作業時間が伸びるほどに好成績を伸ばし続け、継続性も高いことがわかった。一方で、作業前にアンケートを取り、直近で起きた家族内の悲しい出来事を書いてもらったグループは、あきらかに生産性が落ち込んだ。

研究チームのアンドリュー・オズワルド教授は、Google社を例に挙げ「従業員のサポートに多額の投資を行い、社員満足度を37%向上させています。科学的にコントロールされた状況下で社員幸福度を上げることは企業の業績向上につながります」と述べ、ユージーン・プロト博士は「幸福な気持ちで仕事に取り組むことで、時間の使い方も効率的になり、仕事の質を下げることなく生産スピートは向上させることができるようです」と語っている。

「笑う」とは人間だけに与えられた才能である。使わない手はない。そして、社員の「笑う才能」を活かせる職場環境を構築していくのは経営者、管理職の経営手腕ではないだろうか。