企業の生き残りは社員幸福度にかかっている

日本能率協会が公表した最新の「当面の企業経営課題に関する調査」によると、経営課題として事業構造転換と社員のエンゲージメントの2項目が高まる傾向にあるという。

事業構造転換については、「現在の主要事業の事業形態、ビジネスモデルの今後の見通し」への回答結果(下グラフ)が示すように、多くの企業が、現在の事業形態の寿命は長くはないと考えている。AIをはじめ加速する技術進化、少子高齢化と国際化の進む社会構造といった環境変化を考えれば健全な危機感と言えるだろう。

さらにこの危機感を煽っているのは、もうひとつの経営課題にあげられる「従業員のエンゲージメント」、すなわち、社員の会社に対する愛着心や思い入れが希薄になりつつある現状なのではないか。

同じく日本能率協会の調査で、新規事業開発や事業構造転換の成果を左右する要因としてあげられた検証結果では、職場の雰囲気や社員への正当な評価など、職場環境を改善することへの比重が大きい。生き残りをかけての事業転換が行われれば、従来の設備やノウハウなどの資産の一部または大半が不要となることは必須である。その一方で、優秀な人材と資産は事業転換後も残さなければならない。

比類ない速さで「ポータルサイト」から「テクノロジー全般」へと、事業展開を成しえたGoogle社は、その成功の背景に、極めて高い社員幸福度を維持する職場環境の構築とその継続を徹底していることがある。誰もがうらやむGoogle社の「キャンパス」で働く社員たちは、経営者の感覚を持って働く意識付けがされており、「就職活動中の友人にも絶対に自社を勧める」と言うほど、エンゲージメントの高さは秀逸である。

エンゲージメントの高さ、つまり会社への思い入れが高いということは、会社が目指す方向、ビジョン、ミッションに社員が共感していることを意味する。そうなれば、会社への信頼感が生まれ、同僚との協力や相互サポート、社員自らが自発的に考え行動することになり、当然成果に現れる。

米国ギャロップ社の調査では、会社への愛着や幸福度の高い社員は、その逆の社員に比べて、生産性は22%、利益率は21%、顧客満足度は19%高く、離職率、欠勤率、事故率などは3〜6割低いと発表されている。

未来を見据えた事業転換を成し遂げ、離職率を減らし、優秀な人材を活性化させるためにも、これからの企業を救う社員のエンゲージメントとは「忠誠心」よりも「幸福度」である。