経済的損失7700憶円 を救うコミュニケーション

NHK総合テレビの番組「ガッテン!」(201866日放送分)、『筋肉&血管を守る!健康長寿 最高条件』と題された特集の中で、人間が健康に長生きするためには、人との繋がりが影響するというリサーチ結果が紹介された。

日本の職場での予約制相談窓口での悩みのトップは、人間関係である。人と人とをつなぐものこそコミュニケーションであり、そもそもコミュニケーションとは何か、潤滑なコミュニケーションがもたらす恩恵とは何か、改めて再考してみることも大事なのではないか。

コミュニケーションの目的は?と聞けば、誰もが瞬時に「伝えること」「分かり合うこと」などの答えを簡単に出す。では、恩恵は何か?すべてのものごとには、行動の先に恩恵がある。

今回の「ガッテン」では、カリフォルニア大学ロサンゼルス校のスティーブ・コール教授による「親切心と行動が健康長寿に関連する」という実験結果を紹介していた。コール教授は、人と人が直接コミュニケーションを取る、という行為が免疫細胞の炎症モードを減らす究極の条件だと述べている。

さらに、単に人とコミュニケーションを取ることだけでなく、親切であるという行為が人間の免疫力を変えるという。教授は150人の被験者に対して「毎日誰かに親切をして、免疫力を測定する」というユニークな実験を行った。1か月間の実験の結果、13回他人に親切にした人の免疫細胞は炎症反応が低下したことがわかった。

免疫細胞の炎症反応とは、体内で病原菌を攻撃するときに免疫細胞が炎症モードに切り替わることで、この炎症モードが長期にわたると、病原体に対してのみでなく自身の細胞にまで攻撃が及ぶようになる。そのため、筋線維が委縮し、血管など全身で衰えが起こり、脳閉塞、心筋梗塞、動脈硬化などの発症リスクが高まる。

教授はこの結果を、人類の経過してきた進化の過程で「お互いが助け合って生き残った」という歴史が関係していると解説した。人は孤独を感じたときにも免疫細胞が炎症モードになり、それが長期化することで心身に悪影響が及ぶのだと。

厚生労働省の調査では、平成26年に医療機関を受療したうつ病・躁うつ病の患者数は112万人。医療機関に行ってない人数を加えればさらに増える。

会社経営としての健康も考えれば、社内に一人休職者が出ることでの会社損害は、その社員の年収の3倍と言われている。さらには周りのフォロー等でのコストもかかる。メンタル疾患による国の経済的損失(2010年度)は7700憶円、自殺を含めれば27000憶円という宇宙的な数字となる。

日本人は、思いやりという美徳を持って生まれた国民と言われてきたのではなかったか。単に会話はしている、間違いのない情報伝達さえできれば良い、というだけでコミュニケーションが取れていると判断してしまうレベルを超えて、真の優しさも付随した上質のコミュニケーションの重要性と価値に注目するときが来ている。

 *7月4日ヒューマンキャピタルセミナー「明るい解雇!」
 カルチャリア代表奥山由実子が登壇いたします!