ハラスメント撲滅、SOSを見逃すな!

小学生の女児が父親から虐待を受けて死亡したニュースが大きく取り上げられている。こうした、いたたましい児童虐待事件が起きるとかならず、「なぜ死に至る前に、だれもなにもできなかったのか」という声があがる。

今回のケースでは、小学校が生徒に対して行った「いじめに関するアンケート」で当時3年生だった女児は、あえて無記名にせずに父親からの暴力を書き込み、必死でSOSを送った。女児はただちに保護されたものの、約1か月後には親元に戻され、女児が父親の暴力の事実を書いたアンケートのコピーは、虐待当事者として懸念されていた張本人である父親に渡されている。その直後に女児は転校させられ、2度とSOSを発すことなく、父親の虐待で亡くなった。女児の出したSOSへの対応のお粗末さが、小さな命を守れなかったとも言える事件である。

教育委員会の担当者は、「父親から大声で恫喝され、威圧的な態度に恐怖を感じ、強い要求に屈してしまった」と、コピーを渡した経緯を話した。この事件では、本来なら「対応のプロ」であるべき大人までが、ハラスメントの恐怖に屈してしまったのである。

ハラスメントの問題は、現在の日本の社会、企業の中ではいまだに後を絶たない。職場だけでなく、家庭での虐待、学校でのいじめ、あらゆる形のハラスメントが起こっているのが現状なのだ。ハラスメントの被害者が、SOSを出すのは簡単なことではない。そして、SOSに対応することもそれ以上に勇気を振り絞ることが必要だと、再認識させられる。

職場でハラスメントの問題が浮上すると、現在の日本の会社ではほとんどの場合、人事担当者がその対応に「当たらされる」。対応に当たる、ではなく「当たらされる」のだ。カウンセリングのトレーニングを受けたり、スキルを持っていることなどは稀であり、話を聞いただけで特にはなにもしない、できない、ということになる。場合によっては、対応する側が責任と恐怖に押しつぶされることもあるのだ。問題が起きたときに、突然「対応のプロ」になることなど不可能なのである。

「うちの会社にはホットラインがあるから」「弁護士に一任する」という、対応プロセスが設けられている会社でも、実際にホットラインの担当者や、弁護士とも常々情報のアップデートやコミュニケーションを潤滑にしておくべきである。「何かあったときだけ」の関係では、対応は不十分なものとなってしまうのだ。

プロを雇う、プロに頼む。一見簡単で安心なことのように見えてしまうが、プロと呼ばれるレベルに就く人は、何をすべきか、何ができる人材なのかの自己認識することが求められ、頼る側も無責任に「プロ」に丸投げしてはいけないのだ。

こども、おとな、家庭、学校、職場…ハラスメントを撲滅を願うのであれば、まずは誰もが「知識」や「情報」を得ることが重要となる。「知ること」は何よりも大きな力なのだから。

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