逆風の環境で人材獲得する秘訣

人材獲得競争の激化が進みつつある。厚生労働省による有効求人倍率では2017年12月に1.59倍と44年ぶりの高水準となった。一方、この全体を示すデータの裏に、業界や会社規模による格差が存在している。リクルート社の調査による従業員規模別の求人倍率では、従業員300人未満が6.45倍と、前年から+2.29ポイント上昇する一方、従業員企業5000人以上では0.39倍と、前年から-0.20ポイント低下し、従業員規模間で大きな格差があるだけでなく、さらに差が広がっている。また業種別では、特に流通業と建設業の倍率が、それぞれ11.32倍、9.41倍と高水準で、かつ上昇率も高い。

これらのデータを見れば「非上場で社員500名の建設会社」の人材採用は苦戦が察せられる。しかし、そんな逆風の環境の中、17年度も当初のほぼ目標通り40人の新卒者を採用した住宅メーカーがある。静岡県にある平成建設だ。しかも獲得したのは静岡出身以外の有名大学卒業者ばかりという。その秘訣には多くの中小企業経営者には関心のある所であろう。

その一つが採用方法自体における入念な仕組みだ。まずは面接だが、会社説明会開催時の一次面接で1回50分の集団面接を3セット、二次面接でも30分の1対1面接を3回実施、面接では「自然な普段通りの様子」から学生の資質を見るために、話す内容には人事部や経営層は一切関与せず、社歴10年以下の面接官に全て任せる。面接官が自らの考えで率直に対応することで、学生側は「面接されている」のではなく、自分の人生観や職業観を確認できたと感じるという。同時に一次面談では、面接官とは別に採用担当者が様子を観察し、候補者同士の相性までチェックする。

回数を重ねる面接に加え、互いのミスマッチを解消する手段として重視するのがインターンシップだ。そこでのポイントは、インターンシップ用の特別なプログラムを用意せず、最初から実際の建築現場に入ってもらい、現場での作業後は宿舎で会社の風呂に入り、社員食堂で食事もする臨場感だ。ここでは現場の職人社員が積極的に受け入れ、ゼロから育成する意識で配慮することも欠かせない。そして有望な候補者が居れば、通常の選考ルートに拠らずに社長に直接会わせるなど、臨機応変でスピーディーな対応も功を制している。

採用方法以上に効果を持つのが、「大工を育成する会社」という明確なコンセプトの下、秋元社長自身が採用は「自分の仕事」という姿勢を貫いていることだ。年間15回開催する会社説明会では社長自ら1、2時間かけて語り、インターンシップの参加者全員と飲み会に行く。「会社の夢を語れるのは社長だけ。社員が話すと薄まってしまう。」との信念から、会社の目指すビジョンを自分の言葉で直接伝えることを大切に考えているからだ。

こうした平成建設の取り組み、聞けば決して特別なことではないと思われるであろう。その通りだ。採用を会社の重要なテーマとして、時間と手間を掛けることを厭わずに真っ当なことを実践する、それが成果につながる。求人広告などに費用を掛けるより効果が高いのなら、社長自身がコミットしてビジョンを語らない理由はないのではないか。

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