職場の汚いデスクは心の乱れか、天才の証か

 職場環境改善の対象は、時短や女性活用だけではない。毎日使う職場のデスクも、業務や業績に影響を与える立派な、いや重要な環境のひとつである。

 多くの人が子供のころから「机をかたずけなさい。部屋を片付けなさい」と言われ続け、さらには大人になってからも「机が汚い人は仕事ができない」「職場のデスクの乱れは心の乱れ」と言われる。ときには、大きなお世話と反抗したくもなるだろう。そんな時「乱雑なデスクは忙しさの象徴」だとか、「自分にとって何がどこにあるのかわかっていれば仕事に支障はない」とか、そんな理由で逃げていたりはしないだろうか?

 乱雑な机やオフィスの片づけに対して、「忙し過ぎて無理」「今は机を片づける時間を業務に費やした方がいい」という言葉が出てくるとしたら、職場環境改善のイエローフラッグがふられたと考えて良いだろう。たとえ「業績が良すぎて忙しい」という理由だったとしても、要注意に変わりない。どんな形であれ「忙しい」の裏に隠れたひずみは必ずやってくる。

  天才の机は汚い、という事例を使って反論してくる人もいる。有名なところではアインシュタインやスティーブ・ジョブスも、机の上も机回りもモノが多く乱雑だったのは有名である。


アインシュタイン氏の世にも有名な机

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 会社のデスクと、アインシュタインのデスクは同列には語れない。アインシュタインはデスクや部屋がどれほど乱雑でも、どこに何があるか、それぞれがどう関連づいているのかを完全に把握していたとも言われているが、会社のデスクは、そこで使う書類や道具も、個人のものではなく、会社所有の公共物なのである。公共物は誰もが簡単に、効率的に使えてこそ、価値を持つ。

職場の汚いデスクは年間27万1800円の無駄

 たとえ一見したところのデスクが乱雑ではなかったとしても、書類を探すのに時間がかかる、もしくは本人しかわからない書類の整理や収納をしている社員がいる場合は、その非公開性と非効率性が会社全体の業績向上の邪魔をする。見かけのキレイさと職場の機能性は必ずしも一致しないだけでなく、こうした状況の職場は社内コミュニケーションにも支障をきたしている場合も多い。何かしらの書類を探す時間が1日30分あるとするなら、日本人の平均年収411万円(厚生労働省)を使って計算してみると、毎日1, 133円、1か月で10時間で22, 650円、1年間で120時間、ひとりあたり27万1800円の人件費が無駄になっているということだ。

 さらには、会社のデスクは、就業中の社員の身体に最も近い環境となることから、実は心身の健康にも影響も与えている。アメリカの大学の心理研究で行われた「机の状態」の調査では、机と机回りを整理整頓した状態に変えると、34%のパフォーマンス向上が見られたという。机を片づけてまっさらな何もない無機質にした状態と比べて、少しでも自分の好きな写真やモノを飾った場合では、パフォーマンスは17%向上した。

 日本ではまだまだ一般的ではないが、海外では会社のデスクに家族やペットの写真や好みの私物を飾るのは当たり前の習慣で、自分らしさや自分をサポートする気分にしてくれるものを身近に置くことでも人間の能力は変わってくる。能力を発揮できるデスクを持つことは、社員にとっても、会社にとっても豊かな恩恵を生み出してくれるものなのである。

 職場環境はソフト(人材、コミュニケーション、企業文化や理念など)とハード(書類、道具、什器、オフィス機器など)の両方で構築されるもので、それらがバランスよく整備された状態が理想的である。

 環境改善をどのエリアや案件から取り組むか?効果的に進めるために、会社と社員の現状をしっかりと把握することから始めてはどうだろうか。

文:永田広美 ワークスタイルコンサルタント

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