「会社の片づけ」は経営戦略である!

男女1000人を対象にしたあるアンケート調査で、「あなたの会社に片づけられない人はいますか?」の問いに、「いる」と答えたのは94%だった。

「うずたかく積まれた書類で机が見えない」とは、誰もが思い当たる生産性の悪い職場のイメージである。では、一見するとキレイに見えるが、実際に「書類を探すのに時間がかかる」「担当者しか書類の在りかが分からない」「書類管理の方法を変えたいが、一人では何もできない」では、どうだろう。残念ながら、どちらも、生産性の悪さでは同じにカテゴライズされるオフィスである。

なぜ、会社は片づかないのか、片づきにくいのか。最も大きな理由は、片づけや整理整頓の方法を個人のやり方に頼ってしまっていること。以前のコラム「職場の汚いデスクは心の乱れか、天才の証か」では、会社のデスクは、業務や業績に影響を与える重要な環境のひとつ、とご紹介した。前出のアンケート調査の、別の質問「自分のデスク周りはきれいにしているか?」という質問に「はい」と答えた人は74%。片づけられない人が必ずいるはずの職場で、7割を超える人が「自分はキレイにしている」と答える矛盾。これは、自分だけの習慣での「きれい」を基準にしているからなのである。

職場環境とは、異なる価値観や感覚、個性を持つたくさんの社員が集まって構成される特殊で複雑な環境である。その社員が一斉にそれぞれのやり方と基準でデスクや書類を整理すれば、必ずと言って良いほど混乱が起こり、統一性も継続性も望めない。「自分が片づけても、ほかの人が汚してしまう」「自分だけが頑張ってもしょうがない」という声が多いのも、そのことが原因であり、会社全体のプロジェクトとして完了できないこととなる。「会社でプロジェクトチームを作ったが、うまく機能しなかった」ということも起こる。

個人の片づけを会社の型づけに

会社の片づけは、ひとつのルールを「型(方法、システム化)」として共有化し、社員のひとりひとりが無理なく活用できるシステムとして作り上げることで、多くの経営者や社員が思い込んでいる「会社は片づかない」は解決できる。

「片づけ(型づけ)」による環境整備は、目に見える現状把握の第一歩となり、業務動線、コミュニケーション動線を変化させ、さらには人事評価やタレントマネージメントにも好影響を与える。環境整備の作業の中で、会社内のあらゆる「ムダ」が浮き彫りとなり、本質的な業務フローや情報共有の見直しが行われ、働き方の改善につながった事例もある。

片づいていないことで職場環境にムダを生むのは:
紙類、物、備品、在庫、什器、時間、古い習慣や働き方の癖、人間関係、社員の感情、コミュニケーション

残念ながら、いまだ多くの企業は、「片づけ(型づけ)」を単なる清掃と考えてしまったり、そこから発生するさまざまな恩恵を目に見える数字や業績につなげられない。この古い概念と習慣が邪魔をしてしまい、必要だとは思うが緊急性のないプロジェクトとされてしまいがちでもある。

会社の型づけとは「物や人がきちんと循環する環境を作る」という意味である。こうした環境整備は、日々のトラブルやコミュニケーションエラーを防ぎ、社員が能力を伸ばすチャンスを生む。

働き方改革、職場環境改善の必要性を唱えるムーブメントが日本中に浸透しつつある中、「片づけ(型づけ)」という職場環境整備を経営戦略として捉え、いち早く行動する会社が、大きく一歩リードするのではないだろうか。

 

会社の片づけ 経営戦略 職場の整理整頓

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