人材採用難の突破口が整理整頓だとしたら

人材不足、採用難、離職は、今やどの業界にも起こっている現象である。どうしたら良い人材を採用できるかは、企業にとって重要課題である。さらには、多額な予算をかけて優秀な人材を採用しても、社内が正しく運営されていなければ、離職率に歯止めをかけることはできない。

それには、会社のそれぞれの現場に何人の社員がいて、どのくらいのモノがあるのかという職場内のすべての分量を、経営者自身が明確に把握するということでもある。

 年末に向けて「大掃除」が行われるこの時期、単なる掃除ではなく、経営戦略の目的での職場の整理整頓を、会社全体としてどこまでやるかは重要な布石となる。これまで社員に整理整頓を促しても成功しなかったのは、社員が悪いのでも、指導にあたる上司が悪いのでもない。

整理整頓はセットで表現されることが多いが、そもそも整理と整頓は違うものであり、それを共通の認識として統一させることから始めると良い。

●整理=乱れた状態にあるものに対して、必要か否かの判断をし、不必要なものを排除すること。

●整頓=乱れた状態にあるものを、秩序立て、目的に応じた効率的な置き方で整えること。

大きな違いは「捨てる」が含まれるか否か、とも言われる。多くの人が整理整頓、いわゆる片付けは「捨てること」が最重要であり、大きなハードルだとも考えている。

ある意識調査で、「自分は片付けや整理整頓が苦手だ」と答えた人の81%が、その原因を

 【モノを捨てられないから】

と回答している。いつからか「モノを捨てることが片付け」という概念が作り上げられてしまっているが、実は片付かないことの原因は、モノを捨てられないことではないのである。企業の環境整備のプロジェクトに立ち会っていると「捨てることに抵抗はない。逆に何でも捨ててしまう」という人と「間違って大事なものを捨てたり、結局後で必要になったら困るから捨てられない」という人の両極端のタイプの社員が、ほとんどの職場にきちんと揃っている。であれば、整理整頓も、その入口部分となる「整理」の時点で、捨てられるか捨てられないかの考え方の違い、さらには個人個人の作業の速度の統一が取れず、整頓までたどり着けるはずもない。

片付けとは、捨てることではない

 「片づけとは捨てること」という概念こそをまずは捨ててみてはどうだろう。「捨てる片付け」を習慣化することでの恩恵は「捨てる技術」が身につくことではあるが、実際に仕事をしていく上でこの技術を活かす場面はまずないのだ。仕事の現場で最も重要かつ即座に役立つのは「捨てる技術」ではなく「選択能力」なのである。

社員に「何を捨てれば良いか」を問うのではなく、「業務を行うために最高のモノ、必要なモノはどれか。自分のパフォーマンスを高めるのは何か」を常に考える習慣をつけることこそが、企業の成功の鍵であり、職場環境を変える原動力となる。優秀な人材に長く働いてもらうには、個々の責任が明確で、公平な業務フローが職場という環境下で健全に機能していることは重要なポイントとなる。

片付け、整理整頓、働き方はすべて、古い思い込みを捨て、新しい概念で職場環境に取り組むことで未来が開ける時代が来ている。

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