ハイブリッド勤務における心理的安全性の作り方とは

コロナ禍でテレワークとオフィス勤務が併存するハイブリッドな勤務が主流となった今、テレワークではモチベーションの維持、マネジメントが難しくなっています。
今回はハイブリッド勤務の「チーム在り方」について探っていきます。

ハイブリッド勤務の実態

新型コロナウイルス流行後にテレワークを導入した企業は実に9割を超えています。

そのうち、外資系企業の約8割、日系企業の約6割が出社率50%未満という結果。

(出典:エンワールド・ジャパン株式会社「グローバル企業のリモートワーク実態調査2021」)

8割の企業がテレワークを制度として今後も継続すると回答。

テレワーク導入後、外資系企業の約8割、日系企業の約6割が出社率50%未満であり、テレワークとオフィス勤務を並行して行っていることがわかります。一時期オフィス回帰の流れも見られましたが、今後もオフィス勤務とテレワークを並行するハイブリッド勤務の動きは続くと予想されます。

ハイブリッド勤務の心理的安全性をめぐる問題点

心理的安全性とは、チームに対人関係のリスクテイクの心配はないという共通の考え方です。アイデア、質問、懸念事項、過ちなどを率直に話す際に、罰せられたり、恥をかかされたりすることを恐れなくてもよいことを指します。

従来のオフィス勤務ではメンバー同士やマネージャーが直接会って話すことで、信頼関係を築きやすく心理的安全性が発揮されてきました。しかし、チームの半分がオフィス、残りの半分がテレワークというハイブリッドな職場環境においては、残念ながら心理的安全性を一筋縄ではいかないものにしています。

毎日オフィスに出勤していた頃は、仕事は仕事、プライベートはプライベートと完全に切り分けられていました。しかしテレワークになると、仕事と生活の境界が曖昧になります。マネージャーは、子育てや介護などメンバーの個人的な生活状況をふまえたマネジメントが求められるようになりました。これまでと同じようにワークフローの調整をし、さらに自分の目の届く時間帯に仕事をしているとは限らないメンバーで調整するという課題が追加されることになります。これは本来のマネジメントとはカテゴリー的に異なり、マネージャーにとって別の仕事が増える結果になりました。

また、仕事をまわすためにある程度の個人的な情報が必要になりますが、ワークライフミックスの問題は個としてのアイデンティティや価値観いったセンシティブな部分に触れることになり、心理的に安全な話し合いを行うことは難しいものがあります。そのため法的・倫理的な観点からもリスクが高くなります。

さらに、メンバーがテレワークとオフィス勤務の2つの全く異なる状況で働き、他のメンバーやマネージャーとのコミュニケーションがうまく取れなくなると、メンバーは閉鎖的で不平等な感覚に陥り、チームへの信頼が損なわれてしまいます。つまり、どのような仕事環境であっても、メンバーを平等に扱うことがより重要になるのです。

ハイブリッド勤務における心理的安全性の作り方

チームの半分がオフィス、残りの半分がテレワークというハイブリッドな勤務形態において、どのようにすれば心理的安全性を確保できるでしょうか?心理的安全性の提唱者である、ハーバード・ビジネス・スクールのエイミー・エドモンドソン教授によると、3つのマネージャーがやるべきことがあります。

1.説明の場を設定する
ハイブリッド勤務では、従来の職場環境から変わったことを全員が認識することが重要です。まずはメンバーとの話し合いを持ち、チームの課題を認識してもらうことです。そしてチームは自分たちの課題だけでなく、マネジメント層の直面するであろう課題も認識する必要があります。マネジメント層は新しい働き方を考え、正直で透明性のある行動をとることが重要であることを理解しなければなりません。

 メンバーの立場からすると、マネジメント層の考えや意図がわからないと会社の方針に疑問を抱き信頼が得にくくなります。一度疑念を抱いた後に信用してもらうことは困難です。そこで、マネジメント層が方向性を定めて従業員に示すこと、それも一方通行ではなく双方向のコミュニケーションができる説明の場を設けることが理想です。

例えば、部署だけでなく会社としての方針をマネージャーからメンバーに共有したり、週に一度全員の会議を設けて各メンバーの進捗を確認できる状態にしたり、マネジメント層の方針を従業員が簡単にアクセスできる環境を作る、といった説明の機会を設けみてはいかがでしょうか。

2.マネジメント層が模範を示す
マネージャー自身が弱さをさらけ出すことです。例えばハイブリッド勤務における自身の制約や課題をメンバーと共有してみましょう。心理的安全性とは、チームにおいて自身が正直になれるだけの安心感を得ることです。チームに大きな影響を与えるマネージャーが模範として自身の行動を示すことで、従業員の心理的安全性の高い職場になります。

心理的安全性が高くない職場環境においてはメンバーがマネージャーに弱みを見せることはありません。それは、弱みを見せることが仕事の評価に影響を与えるものだと認識しているためです。もちろん、仕事をする上で売上や目標を達成することはチームメンバーの責務です。しかし、チーム内でコミュニケーションがとれない状態で成果を上げるというのは至難の技です。マネージャーが弱さをさらけ出してメンバーにそれが悪いことではないと示すことで、メンバーがそれに倣い弱さを見せてくれるようになれば双方向の関係性を構築できます。メンバーに対して気持ちを汲み取る姿勢を提示し続けることが大事です。

ハイブリッド勤務においては業務以外の部分でもコミュニケーションをとれるよう関係を構築していくことが望ましいです。

例えば、リモート会議後に上司が自ら「リモートだとでメンバー同士がうまくコミュニケーションをとれているか心配なんだよね」「目標達成のために自分はどのような課題があって、解決するためには皆の協力が必要だ、力を貸してほしい」のように弱さを見せてみましょう。弱さを見せることでメンバーからの共感や協力を得ることができます。

3.小さな情報を公開する
小さなことでも構いません。まずはマネージャーから情報を発信していきましょう。そして他の人が追従した時はそれを歓迎することで、自分が情報を発信することで罰せられることはないという自信や安心感を、メンバーが持てるようにしましょう。信頼関係を築くには時間がかかります。

マネージャーがメンバーを気にかけるように、メンバーもマネージャーに関心を持っています。仕事のメリハリは必要ですが雑談すらはばかられる職場では、ただでさえ情報共有が難しいハイブリッド勤務においてメンバーからの情報共有や自発的な発信は臨めません。

例えば、チームの共有チャットでマネージャーの立場から現在の市場分析や成功事例の共有、他部署の近況など全員がアクセスできるものでも積極的に開示、共有しましょう。些細なことでもポジティブに言い続けることで情報発信をすることが良いという土壌が形作られていきます。

(参考:Harvard Business Review「What Psychological Safety Looks Like in a Hybrid Workplace」)

まとめ

テレワークとオフィス勤務が併存するハイブリッド勤務が中心となっている環境下では、マネージャーは個人の生活状況を加味したマネジメントが求められるようになりました。また、コミュニケーションが不足することでチームへの信頼が損なわれ、心理的安全性を確保することが難しくなります。

心理的安全性は、チームメンバーがお互いを信頼することでモチベーションの向上や本来の自分らしさを発揮することで真価を発揮します。ハイブリッド勤務において心理的安全性を作るには「チームの課題を全員が認識できる場を設ける」「マネージャーが模範を見せる」「小さな情報発信をする」ことが必要です。

心理的安全性を作ることの難しさは、一度作った環境は積極的に維持しなければ長続きしないことです。ハイブリッドな職場環境で心理的安全性を維持するためには、マネージャーもメンバーも、ネガティブな結果を恐れることなく、既存の考え方に挑戦する職場環境を育むために、常に好奇心を持ち続けることが求められます。

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