アップル社の業績V字回復戦略は整理整頓だった

ここ数年、株式時価総額とブランド力ランキングでGoogle と2トップに君臨し続ける会社は、言わずもがなアップル社である。多くの会社にとっては雲の上の存在的ではあるが、自身の仕事への取り組み方や職場環境改善に活かせるエッセンスは豊富にある。

 以前のコラム「職場環境を割れ窓理論で改善する」でも、会社崩壊状態にあった1990年代のアップル社をV字回復に導いたスティーブ・ジョブス氏の改革の軸は「汚いオフィスの改善」だったとご紹介した。今を煌めくアップル社ですら、その存続まで危ぶまれる「暗黒の時代」もあったのだ。ジョブズ氏が同社を離れていた時期を前後して、指揮者を失ったオーケストラの如くなったアップル社は、社員は好き勝手に仕事をし、社内コミュニケーションも希薄、当然のようにモラルも低下し、オフィスはテスト機材などの機器が床に転がっているいわゆる「汚い職場」になっていたという。

 iMaciPodV時回復を遂げた立役者がジョブズ氏であることは周知の事実ではあるが、スカリー氏、スピンドラ氏の後のCEOギルバート・アメリオ氏の存在も大きい。「半導体業界の再建屋」と称される手腕でリストラを断行し、人員とプロジェクト面での整理整頓も、その後の飛躍の下地を作ったのである。製品ごとに組まれていた組織を機能別へ再編、会社の方針やルールが行き渡りやすく階層の少ないシンプルでフラットな組織構築は、環境やプロジェクトの変化に応じて適宜変更されるという。

 こうした組織変革時には環境がマインドに与える影響の重要性が見直され、創造性と生産性を高めるためのスタッフには、それにふさわしいオフィス環境が望まれる。そうしたオフィス環境は、googleキャンパスをはじめ、創造性が求められる多くの企業が今やこぞって目指している。アップル社の職場の整理整頓の先の目標には、社員間の接触とコミュニケーション、そして相互監視をもたらすレイアウト作りもあったという。

 業績を上げるビジネス構築は、整理整頓された職場という「ハード」、創造的な成長を続ける人材と組織力という「ソフト」、この相互バランス、相互サポートで実現化する。

 アップル社では、社内ルールも極めてシンプルで、数少ないルールに絞り込むからこそ、厳格に貫かれているのは「秘密保持」と「自分の仕事に責任を持つ」、この2つなのだという。そこで働く者には、自由が与えられる一方で責任も伴う。自由と責任、厳しさと楽しさがセットになる、これも相互バランス、相互サポートの関係だ。

 アップル社の劇的な復活劇から学べるもの、その中に職場の環境改善、職場を構成するハードとソフトの相互バランスと相互サポートは経営戦略として見逃せないものである。

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