社員が育ち、働きがいのある職場をつくる組織改革の手順とは

あなたの会社の組織改革、順調にすすんでいますか?

4月になり、新たな期がスタートしたタイミングで組織改革を検討し始めた会社や具体的に組織改革がスタートした会社もあることでしょう。

組織改革は、業務運営で浮かび上がってきた課題に対処していくだけでなく、会社のさらなる発展のために組織の構造や役割、運用の方法を変える手段でもあります。

また、昨今のコロナ禍のように環境の変化による組織改革の必要性を感じている経営陣もいます。

しかし、組織改革は一筋縄でいくものではありません。実際に大企業においても組織改革が運用に乗った後に失敗した例があります。富士通の例を挙げてみましょう。1993年に他の企業に先駆け、日本で初めて管理職を対象にした成果主義を導入した富士通。

その後、管理職だけでなく全社員も対象となり年功序列制度は廃止という、当時は革新的な人事制度改革として大注目されました。しかし、運用が開始されてから現場から多くの不満の声があがり、社員のモチベーションも下がる一方。結果的に会社の成長を見据えたはずの制度が足を引っ張り、業績も低下。その後成果主義は廃止されたという経緯があります。

組織改革は“確実に失敗する”ということを念頭においている経営陣はそう多くはありません。かねてから問題になっている事柄を解決すべく組織改革の運用も始まった、もしくは滑り出しはよかったのでもう大丈夫と考えているようであれば、その組織改革は確実に失敗します。

1. 組織改革が失敗する4つの原因

では、組織改革が失敗する原因とは何でしょうか。下記は組織改革においてよくある失敗の例です。

1.幹部が勝手に進める、一人の意見が強すぎる

社長の鶴の一声で組織改革が進んでいませんか。狭い会議室に幹部だけが集まって組織改革の中身を決めていませんか。トップダウンで突然明日からやりますと現場に投げても、現場はただただ混乱するだけです。経営陣や管理職、一般社員など、おのおのの立場によって組織に対する考え方や意見、課題は異なります。特定の階層の目線だけで進められた組織改革では途中で頓挫してしまい、うまく機能しない可能性大です。各階層から広く考えや課題を吸い取るようにしましょう。

2.導入したものの、うまく運用にのらない宝の持ち腐れ事案

“改革”という言葉だけが先走ってしまい、現場が置き去りにされる典型的な例です。例えば、ある営業部では今までExcelで顧客管理をしていた。しかし、誰かがExcelを使っているとそのブックを開けないので不便、入力の手間がかかるなどという声があがっていたため、業務効率を上げるために、今話題になっている某社のCRMを導入した。しかし、操作がむずかしくて誰も使いこなせず、結局今までのExcelを使い続けている……というような、結果的に現場が使いこなせないというケースはよくあります。運用が開始されても改善の兆しが見えないので、ふたを開けてみたら全く機能していないということはありませんか?

3.従業員の意見を聞きすぎる

従業員の声ばかりを聴きすぎてしまうと、逆に会社として目指すべき方向からずれが生じてしまうので、気をつけなければなりません。昨今、社員の幸せは会社の発展につながるという、従業員満足度(ES:Employee Satisfaction)の重要性について注目されています。従業員の声を集めることで、従業員に対して会社は従業員のことを考えているというパフォーマンスになり従業員満足度もあがるかもしれませんが、従業員満足度に固執することで本来の目的を見失うことのないようにバランスを見極め、組織改革の土台となる課題を抽出しなければなりません。

4.正しいベンチマークが取れていないため、課題を解決できない

正しいベンチマークが取れていないと、リアリティーのある課題を抽出できません。ベンチマークを取るメリットとして、物事を客観的に見ることができ、比較対象との差異が数値として出てくるので課題が明確になります。しかし目安となる指標がずれてしまっていては、当然のことながら問題解決にも影響が出ます。

2. 組織改革における、よくある“勘違い”

特に上層部において、下記のような意識が根底にあると、組織改革の失敗につながります。

・従業員からの理解を得るのは運用開始後ではなく、組織改革を始める前

会社として目指す姿を明確にすることは、組織改革を成功させるための重要なファクターです。まずは組織改革を始める前に、会社としてこれから目指す姿と、なぜ目指すのかという理由、その展望を明らかにし、全社的な共感や納得を得ることが最初の一歩。従業員の共感や理解が組織改革への関心や意識につながり、組織改革の原動力になりますので、事前に従業員に対して説明の場を設け、組織改革に対する会社の考えや方向性、本気度を伝えるようにしましょう。また、組織改革を進めていくにあたり組織改革へのモチベーションをアップすることも必要です。その環境づくりとして、理念に共感できるメンバーを採用したり、インセンティブによって従業員のモチベーションを作り出すという方法もあります。また納得できないという従業員には退いてもらうような措置も場合によっては必要になります。

・主役は従業員。上司の自己満足で終わらせない

組織改革が上層部の“組織改革をやった”という絵に描いた餅のような事案になっていませんか? 結果的に部下の困りごとが解消されないのであれば、実績にはなりません。また、運用が開始されたのでもう大丈夫、やることはやったから終わりというのは単なる自己満足でしかありません。運用が始まった後にもやるべきことはあります。開始後も経緯を見守り、成果が安定して出るようになるまで組織改革という勝負は続きます。

3. 組織改革を成功させる4つのポイント

では、組織改革を成功させるためにはどうすればよいのでしょうか。

・ 短期・中期・長期のKPI設定

次に挙げる5つの項目に沿ってKPIを設定してみましょう。組織改革のゴールを明確にすることで、目標(ゴール)に対して集中でき、パフォーマンス測定も可能にします。また、組織改革メンバーも自分に何が期待されているのか、目標を見失うことなく何に向かって努力すべきなのかが分かるようになります。

●KPI設定のポイント
①「何を(成果指標)」「どれだけ(成果水準)」行うかを明確にする
② 成果指標は測定可能なものとする
③ 成果目標はマネージャーとメンバーの話し合いで合意しているか
④ 成果目標は現実的に達成可能か確認すること(ストレッチ目標)
⑤ 成果目標は期日を明確にしているか

●KPI設定の例
✖【悪い例】プロジェクトがうまく進むように努力し、チームに貢献する
〇【良い例】プロジェクトにおいて9月末までにコスト削減○○百万円を実現する

悪い例では、「努力」や「貢献」など、聞こえはよいですが具体的ではなく、単なる努力目標をにおわすようなぼんやりとした表現が並んでいます。良い例では、具体的な金額や期日などの数字が提示されているので、後々パフォーマンス測定もできます。

・ 組織改革の課題抽出

業務報告で上がってくる数値や評価面談、1on1ミーティング、サーベイなどから課題を抽出していきましょう。数字や文書などで見られるものがあれば、組織改革を実施する際に周囲への説得材料にもなります。“なんとなくうまくいかない”という、直感的にもやもやするような状況であれば、組織改革へ向けて舵を切らずに待ちましょう。一呼吸おいて、専門家へ相談するのも一つの手段です。状況を整理し、何が問題なのかを明確に示してくれます。

・プロジェクトチームの立ち上げ

幹部が頭を突き合わせて組織改革の構想を練るのではなく、組織改革のためのプロジェクトチームを立ち上げましょう。

人選としては、
「先頭に皆を引っ張っていけるリーダータイプの人材」
「変化に強いイノベータータイプの人材」
「信頼度の高い課長・部長レベルの人材」などの選出をお勧めします。

その理由として、
①新しいものを作り上げるプロジェクトのため、既存の枠組みの中で駒を動かすタイプでは、行き詰ってしまう可能性あり。

②改革を行うということは、現状を壊して新しいものに作り替えることなので、現状維持を支持する抵抗勢力が必ず現れます。そのため、現場の理解やリアルな根回しが必要になるので、各部門との調整を担う役回りや、ファシリテーターとしてプロジェクトを導く管理職レベルの人材の登用が求められます。

③部長以上になると、現場との目線が異なりプロジェクトメンバーと合わない可能性が大きくなります。

メンバー選びは組織改革プロジェクトに大きく影響しますので、慎重に行う必要があります。

・ベータ版を走らせ、問題・課題を明確にして修正を行う

運用を始める前に必ずテスト期間を設けてください。運用にのせても失敗する可能性はあるということを念頭に置き、まずはベータ版(テスト)から始め、そこで失敗したこと・浮かび上がった課題を見直し、修正するPDCAサイクルを繰り返してプロジェクトの精度を高めていくことで本格運用後の大規模なイレギュラーや問題を回避しやすくなります。匿名の目安箱・意見箱のようなものを設置して意見を収集することも改革の精度をアップにつながります。

まとめ

組織改革とは会社という組織を構成している従業員の意識改革とも言えます。人の意見や考えはすぐに変わるものではありません。組織改革を始める前に、まずは従業員に対して組織改革を行う理由や会社の方向性などを説明・理解する機会をしっかり設けることが重要です。従業員の共感を得ることがよいプロジェクトチーム発足の鍵になります。また、KPIを設定し、ベータ版でテストと修正を繰り返し精度を高めてから本格運用することで、大きなトラブルを回避しやすくなるでしょう。適切なステップをふんで、ぜひ組織改革を成功へ導いてください。

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