2018年を展望して

その年の4月の天皇の退位で2019年には年号が変わる。つまり2018年は平成の最後のフルイヤーとなり、2019年と共に時代の節目の一つになりえるのではないだろうか。30年前に遡る平成の始まりは、昭和の高度成長期の最後を飾るバブルの真っただ中であった。その後の日本経済は「失われた10年あるいは20年」と言われるような長いトンネル期間を経験し、最近はデフレ懸念払拭までは至らないものの、トンネルを脱しつつあるようにも見える。一部には、バブル期を彷彿させる高額消費、平成元年に最高値を付けた株価の戻り高値の更新、東京のマンション価格上昇、売り手市場に転じた人材採用市場など平成初期と似た話題も見られる。

一方、社会構造はその間に着実に変化している。中でもグローバル化に影響を受けた国際化は不可逆的で今後も加速しそうだ。海外に目を転じれば、平成始めに比べ、指数構成企業の6割が入れ替わったアメリカのNYダウ株価指数は約9倍に、中国とASEANのGDPはそれぞれ25倍、7倍となるなど、周りの変化スピードは早く、好むと好まざるに関わらず引っ張られざるを得ない。

その一環として、日本の職場でも無関係ではいられないのが多様性であり、2018年は「多様性元年」となるのではないだろうか。すでに少子高齢化から恒常的に人手不足の業種では、外国人労働者は不可欠となってきている。東京都が打ち出す国際金融都市構想の主旨は、高所得のハイスキルワーカーの移住にある。その実現性は甚だ疑問ではあるが、少なくともそうした政策が出始めた気運には期待したい所だ。

多様性でさらに期待されるのが女性の活躍であろう。10%台前半と欧米の1/3程度である管理職の女性比率の向上を目指すのもその一つ。社会進出の必要条件となる子育て支援への社会インフラ整備は未だ不十分だが、社会福祉費予算の矛先を高齢者から育児や教育に向けつつある政策の流れは、少なからず後押しとなると期待される。

振り返ると平成の始めにも、男女雇用均等法施行を受け女性の社会進出がテーマになっていた。その後、期待された程には進んでいないものの、女性活用の下地は出来め、時代の要請の下、女性の活躍は進展するであろう。

さらに、もう一つ挙げたい働き方のトレンドは「フリーランス化」である。バブル期までの働き方の主流は「企業戦士」であった。まだ多くの方の記憶にあるであろう、栄養ドリンク「リゲイン」のCMでのコピー「24時間戦えますか!」が象徴する、残業は当たり前の労働環境は、今では「ブラック企業」と呼ばれ批判の対象になっている。

日本型雇用を象徴する年功序列、終身雇用にすでに過去のものになりつつあるが、「LIFE SHIFT」でも予見される「定年なし」社会の到来で、働く者と企業の関係も変化が加速する。その一環で、副業の推進も増えていくだろう。ヤフー、サイボウズ等だけでなく、ロート製薬の様にIT以外の業種でも副業を進め始めている。中にはエンファクトリーのように「専業禁止」とする企業もある。

職種分類の国際比較で、日本は「事務補助員」の割合が大きい一方、「管理職」「専門職」「技師, 准専門職」は2割に満たず、欧米・オセアニアの先進国の半分程度となっている。今後も進むと見られる技術進歩、需要の個性化細分化等への対応に、より職業の専門性が求められる。それは個々の働き手が自身のスキルと経験を基にキャリアプランを描くことになり、企業への所属の有無を問わず、フリーランス的な働き方を加速させることになるだろう。

平成期間中に、バブルの後遺症とも言える財政の慢性赤字の積み重ねで、日本は多額の公的負債を抱えるメタボ体型となった。最近の経済の堅調さも、海外の好景気とオリンピックという一過性イベントに負う所が多く、その分諸々の問題への対処を遅らせてしまっている面もある。そうした課題への対処に向かい、2018年に元年を迎える新年号期が、多様性と柔軟な働き方が進み、その結果として生産性の飛躍的伸張で経済と社会が進歩し、新年号がまた次の年号に変わる頃には、日本がシェイプアップした姿に脱皮する時代となることを願って止まない。

2018年展望 働き方 平成から新年号へ